スループットの問題を解決できたとしても、EUVには、化学増幅レジスト(CAR:Chemical-amplified Resist)のための新しい材料を開発しなくてはならないという課題がある。さらに、マスクの欠陥をなくすためにペリクルも開発する必要がある。最先端のEUV装置の開発は、もともとは2007年に実用化される見込みだったので、既に7年の後れが出ている状態だ。
それでも、Ronse氏は楽観的な姿勢を崩さない。「道のりは長いが、少しずつ前進している」(同氏)。ASMLは、2014年末までに80Wの光源を導入する予定だ。「2015年末には160〜180Wの光源を実現できる可能性がある。コスト効果の高い量産体制の実現には十分な強さの光源だ」(Ronse氏)。
Intelは、10nmプロセスのチップをEUVを使わずに製造する、コスト効率の高い方法があることをほのめかしている。だが同社は、マルチレイヤーパターニングなどについては言及していない。
Ronse氏は、「EUV以外では、現実的な代替プランはない」と述べる。トリプルパターニングやクアッドパターニングでは、アラインメントやフォーカス制御、OPC(Optical Proximity Correction:光近接効果補正)にコストがかかりすぎる上に、複雑な工程になってくるからだ。「このような膨大なコストに耐えられるメーカーなどない。ムーアの法則に沿うことは、もうできなくなっている」(同氏)。
Synopsysの共同CEOであるAart de Geus氏も、「ムーアの法則によって、より高性能、より安価なチップを提供し続けられるかどうかは、定かではない」と語っている。
de Geus氏は、プロセスの微細化については慎重な姿勢を見せる。「われわれは初めて、ムーアの法則のカーブからそれ始めている。マルチレイヤーパターニングは大幅なコスト増となり、そのプロセスではとても製造を維持できない」(同氏)。
IMEC Technology Forumのセッションで、ASMLのVan den Brink氏は、EUVについて楽観的な見解を示しつつ、コストを引き下げる鍵となる450mmウエハーの開発を急ぐ必要があると述べた。同氏は、「450mmウエハーへの移行時期は、大幅に遅れている」と述べ、大口径ウエハーへの移行における課題を指摘した。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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