反対に、SMICはQualcommとの今後の計画を積極的に明らかにしている。
SMICはプレスリリースの中で、「Qualcommとの協業は、今回が初めてではない。当社は以前にも、パワーマネジメントICや無線IC、コネクティビティ関連のチップ製品など、各種プロセス技術での製造においてQualcommをサポートしたことがある」と述べている。
SMICは、「今回の新たな合意に基づき、Qualcommとの協業によって、成長著しいモバイル通信業界に向けて、28nmプロセス関連のデザインインや製品などを手掛けていく。また今後、QualcommがSnapdragonシリーズを引き続き拡大していく上でサポートを提供するとともに、将来的には3次元IC(3D IC)や無線フロントエンドチップなどの製造に関する技術提供を拡大していきたいと考えている」と述べている。
SMICはこれまで、中国のファブレス分野の成長の波に乗ってきた。一方Qualcommは、中国はもちろん、世界の中でも最大手のモバイル機器向けチップメーカーとして、不動の地位を維持している。
これまでにも度々指摘があったとおり、中国で消費される半導体チップのうち、実際に中国国内で生産されているものはごく一部だけである。
Oski Technologyでマーケティング担当シニアディレクタ兼アジア太平洋地域担当ゼネラルマネージャを務めるJin Zhang氏は、最近EE Timesに投稿したブログの中で、「中国では、半導体チップの消費量と製造量との差が激しい。2015年以降も、その差は驚くほど拡大していくだろう」と指摘している。
中国国内の大半の業界筋は、こうした点について、極めて重大な問題だと見なすのではないだろうか。
Zhang氏は、「中国国内で消費される半導体チップの大半は、IntelやSamsung Electronics、Texas Instruments、Freescale Semiconductor、Qualcommなどの巨大半導体企業によって提供されたものだ。このため、中国の半導体産業が成長するに伴い、多国籍半導体企業がばく大なチャンスと利益を得ていることになる」と指摘する。
こうした状況から、QualcommとSMICが28nmプロセス技術によるチップ製造で協業することは、中国でQualcommが正しい方向に進んでいくための第一歩になると考えられるのではないだろうか。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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