Qualcommは、エントリーレベルのスマートフォン向けに、「Snapdragon 200」の新シリーズを発表した。ハイエンドスマートフォン市場では圧倒的なシェアを誇る同社だが、ローエンドスマートフォン市場では、台湾や中国のメーカーとの競争に苦戦している。
Qualcommは、エントリーレベルのスマートフォン向けプロセッサ「Snapdragon 200」に、新たに6製品を追加すると発表した。今回追加するのは、28nmプロセス技術を適用したデュアル/クアッドコアプロセッサである。
Qualcommは、スマートフォン向けアプリケーションプロセッサ市場で40%以上のシェアを誇り、同市場をリードする存在として知られている。その一方で、ローエンドスマートフォン向けプロセッサ分野では、ファブレス半導体ベンダーである台湾のMediaTekや中国のSpreadtrum Communicationsとの競争に苦戦している。
2013年第2四半期のQualcommの決算報告によると、同社の売上高は予想を下回る結果となった。これは、中国をはじめとする新興市場で競争が激化したためと思われる。これらの地域では、ハイエンドモデルではなく低価格スマートフォンの普及が急速に進んでいる。
初代のSnapdragon 200シリーズは、45nmCMOSプロセス技術を適用し、ARMの「Cortex-A5」のクアッドコアを搭載している。最大動作周波数は1.4GHzだった。
今回発表された新製品は、28nmプロセスを採用し、「Cortex-A7」を搭載している。Cortex-A7は、高性能プロセッサコア「Cortex-A15」と組み合わせて「big.LITTLE処理」を構成できる(関連記事:ARMの新コア「Cortex-A7」は「A15」と連携、単体でも性能は「A8」以上)。動作周波数は最大1.2GHz。HSPA+や、中国独自の通信規格であるTD-SCDMAなどに対応する。
GPUは、「Adreno 203」から「Adreno 302」にグレードアップした。ただし、対応可能なディスプレイの画素数は従来製品と同じ720pだという。また、800万画素の背面カメラと最大500万画素のフロントカメラの2つのカメラをサポートし、1つのプラットフォームであらゆるSIMカードに対応できる。
新製品に対応した「Qualcomm Reference Designs(QRD)」も、併せてリリースする予定だ。QRDは、いわゆるリファレンスモデルだが、スマートフォンやタブレット端末の実機に近いものだという。Qualcommによれば、これまでに40社以上の携帯電話機メーカーがQRDを利用して、17カ国で250機種以上の製品を投入している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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