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PC接続型計測器で据置型スペアナ並み信号解析機能――価格は半分テスト/計測 スペクトラムアナライザ

テクトロニクスは、USBリアルタイムスペクトラムアナライザ「RSA306」を発表した。RSA306とPCを組み合わせて用いる、「分離型計測器」と同社が呼ぶ新しい概念の測定器で、同等性能の据え置き型製品に比べるとほぼ半分の価格にできるという。

» 2014年11月06日 10時05分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

PCと組み合わせる「分離型計測器」

 テクトロニクスは2014年11月5日、USBリアルタイムスペクトラムアナライザ「RSA306」を発表した。RSA306とPCを組み合わせて用いる、「分離型計測器」と同社が呼ぶ新しい概念の測定器で、同等性能の据え置き型製品に比べるとほぼ半分の価格にできるという。今回が分離型計測器の第1弾となるが、今後もリアルタイムスペクトラムアナライザでシリーズ展開を図っていく計画である。

 RSA306は、USB3.0インタフェースを搭載しており、デスクトップPCまたはノートPCと接続して、信号波形の測定/解析を高速に行うことができるという。特にRSA306本体(アンテナは別売)は、RF信号の取り込みを行うフロントエンド部のみとし、取り込んだ信号の解析や波形表示はPC側で行う構成とした。RSA306の操作と電源供給はPC側から行う設計となっている。これによって、本体の重さはわずか590gに抑えた。

RSA306はUSB3.0でPCと接続して使用する

41万3000円

 周波数測定範囲は9kHz〜6.2GHzで、リアルタイム帯域幅は40MHz、捕捉可能な最小信号時間は100μsと高い性能を実現している。RF基本性能も表示平均ノイズレベル(DANL)は−160dBm/Hzであり、周波数確度は1ppmを達成した。高い性能を実現しつつも、価格(税別)は41万3000円に抑えるなど、保守サービスや大学などの教育機関などでも、導入しやすい設定となっている。

 RSA306と組み合わせて使うPCは、USB3.0インタフェースを搭載していることが必須である。CPUは第4世代「Intel i7 CPU」、RAM容量は8Gバイト、OSはWindows7もしくは8(64ビット)を搭載した製品を同社では推奨している。

17機能のソフトは無償で

 RSA306の操作やRF信号解析の機能を備えた、PC向けの計測ソフトウェア「SignalVu-PC」も用意している。干渉電波や間欠ノイズを可視化するためのDPXライブスペクトラム表示など、17種類の機能を備えた基本的なソフトウェアは無償で提供される。据え置き型リアルタイムシグナルアナライザやオシロスコープに向けたSignalVuソフトウェアと同一の操作性を実現しているという。さらに、追加オプション(有料)としてAM/FM/PM変調解析、Wi-Fi変調解析、測定結果の地図へのマッピングなど、9種類の機能が用意されている。

 追加オプションの価格(税別)は、「ベクトルシグナルアナライザオプション」、「IEEE802.11a/b/g/pオプション」、「IEEE802.11nオプション」、「IEEE802.11acオプション」が、それぞれ11万8000円。「地図へのマッピング用オプション」が29万8000円となっている。

 なお、RSA306の主な用途としては、サイトサーベイ(電波環境調査)や無線ネットワーク構築後の保守・管理業務、RF組込み機器の設計/開発やノイズの解析業務、設備予算が限られていたり、持ち運びが多かったりする研究・教育の現場、フィールにおける干渉波/RFノイズ源の探索、などに適しているという。

しっかりとRF計測

RSA306を手にする米山不器氏

 テクトロニクスの代表取締役を務める米山不器氏は、無線通信機能の広がりについて、「スマートフォンやタブレット端末はもとより、オーディオビデオ機器やエアコン、冷蔵庫、さらには自動車など、ありとあらゆる生活/ビジネスシーンにおいて、ワイヤレス通信機能を搭載した機器が用いられるようになった。IoT関連製品では多くのセンサーがインターネットに接続され、さまざまな状況を集中してモニタリングすることが可能となる」と話す。

 このため、「しっかりとRF計測を行う必要がある」、「無線通信機能を備えたモバイル機器が増え、電波干渉を引き起こす確率が高まった」、「教育現場でもRF信号を分析するニーズが高まっている」と米山氏はいう。高い性能を維持しつつ、極めて安価で軽量/コンパクトなRSA306を製品化した背景には、こうした理由がある。

 さらに米山氏は、分離型計測器を製品化する狙いとして、「ユーザーは常に、最新のPC環境を利用してRF信号の解析を行うことが可能となる。当社にとっても、PC機能を実現するためのハードウェア回路の設計やOSに関連するソフトウェア開発を行う必要がなく、SignalVuの開発にリソースを集中できる。この結果、スペクトラムアナライザの開発期間を、これまでの3年間から9カ月に短縮することができた」と語った。

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