Abrams氏は、今回のTSMCの発表を受け、2014年11月12日付のリポートの中で、「TSMCの20nmプロセスの歩留まりは、80%に達しようとしている。また、16nm FF+ SRAMの歩留まりは90%を超えている。こうしたことから、TSMCのFinFETプロセス適用チップの売上高シェアは、2015年第3四半期には全体の1%に、同年第4四半期には同10%、さらに2016年第1四半期までには20%に達すると確信している。またTSMCは、Appleの次世代『iPad』や、2016年に発表予定の『iPhone 7』に搭載するプロセッサの製造の受注も確保できる可能性がある」と述べている。
またAbrams氏は、「TSMCは、20nmプロセスの歩留まり向上と、16nm FF+プロセス開発によって技術的な位置付けを獲得したことにより、16nm FF+プロセス開発を迅速に実現するに至った」と指摘する。
BNP Paribasでアナリストを務めるSzeho Ng氏は、2014年10月16日付のリポートの中で、「主要なクライアント企業は、TSMCと再度契約を締結する傾向にある。またTSMCは、FinFETの生産能力を前倒しして構築しようとしているようだ。SamsungとGLOBALFOUNDRIESは契約を締結しているものの、これによって2015年の製造が円滑に進むことが確約されているわけではない」と述べている。
資産運用などを手掛けるSanford C. Bernstein and Co.のMark Li氏は、「TSMCの3大顧客であるApple、Qualcomm、AMDは、(16FF+について)特にコメントは出していない。3社はTSMCとSamsungとの間で製造リスクを分散しているからだ」とコメントしている。「20nmプロセスでは、AppleとQualcommはTSMCにしか発注していない。だが、2015年の初めにはFinFETの一部の発注をSamsungに移行するだろう。20nm FinFETではSamsungが進んでいるからだ」(同氏)。
ただし、SamsungのFinFETの歩留まりは低いという。Fubon SecuritiesのPeng氏は、「Samsungの歩留まりは2014年の初めで30〜35%で、そこからあまり向上していない。もし歩留まりが十分上がらなければ、AppleとQualcommは、TSMCへの発注を増やすかもしれない」と見ている。
Samsungは、FinFETの需要の第一波(2015年半ばとみられている)には乗ることができないかもしれない。同社はFinFETのビジネスを、まだそこまで拡張していない。Samsungが2015年第1四半期に製造する14nm FinFETの多くは、同社のスマートフォン「Galaxy S6」に搭載される見込みだ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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