サムスン電子(Samsung Electronics)とGLOBALFOUNDRIESは、同じ14nmプロセスを使用してチップを製造することで合意した。サムスンは2014年内に、GLOBALFOUNDRIESは2015年前半にも量産を開始する予定だとしている。
Samsung Electronicsは、同社が開発した14nm世代のFinFET(立体構造トランジスタ)プロセス技術を適用したチップの製造を2014年後半に開始すると発表した。GLOBALFOUNDRIESはSamsungから同技術のライセンス提供を受け、2015年前半に製造を開始する予定としている。
このニュースによって、世界最大のファウンドリであるTSMCも焦りを感じているはずだ。一方、Samsung、GLOBALFOUNDRIESとともに半導体製造に関するアライアンス「Common Platform」を推進していたIBMは、プロセス技術の微細化競争から離脱した状態にある。IBMは、半導体グループの一部を売却するとの声もある。
Samsungは、2014年2月に14nmプロセス技術を完成させ、同年後半に複数の顧客向けに同チップの量産を開始したい考えだ。GLOBALFOUNDRIESは、2014年中に14nmプロセスチップの生産体制を整えて、2015年前半に量産を開始する予定だという。
最初の14nm LPEプロセスは、開発期間が短い製品に向ける。プレーナ型20nmプロセスのチップと比べて、性能は20%向上、消費電力は35%減、チップ面積は15%減を実現するという。SamsungとGLOBALFOUNDRIESは、14nm LPEに続き14nm LPPプロセスでの製造も計画している。同プロセスの採用により性能はさらに15%向上し、消費電力も削減できるとしている。ただし、消費電力がどの程度削減できるかについては明確に言及していない。
一方のTSMCは、2014年11月に16nm FinFETプロセス技術を完成させ、現在開発中である複数の顧客向けチップに適用する計画だという。2015年には、14nmプロセス技術で設計したチップを現在の5倍以上に増やしたい考えだ。
TSMCのライバルであるUMCは、EE Timesの取材に対して、14nmのプロセス開発ツール(PDK:Process Development Kit)の初期バージョンを使用して、14nmプロセスチップを試験的に製造していることを明らかにした。同社は2014年中に最初の同チップの設計を完了し、2015年に量産を開始する計画だという。
ファウンドリ各社が14nmプロセスの開発を進める中、「16/14nmプロセスチップの実用化には、さまざまな課題がある」と指摘するアナリストは多い。3次元トランジスタの採用も課題の1つだという。あるアナリストによると、Intelの14nmプロセスチップ開発は、当初の計画から少なくとも4カ月遅れているという。同社は、2014年6月に第2世代のFinFETプロセスチップの量産を開始したいとしている。
米国の市場調査会社であるInternational Business Strategies(IBS)でCEOを務めるHandel Jones氏は、「ファウンドリ/ファブレスのどちらの半導体企業も、FinFETチップの開発においては、Intelと同様の遅れを経験するだろう。Intelは、22nm世代のFinFETチップの開発を経験しているが、同社以外のファウンダリ/ファブレス半導体企業はFinFETの開発経験がない。こうした状況の中、SamsungとGLOBALFOUNDRIESの提携は、両社にメリットをもたらすものになるだろう」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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