ルネサスの最新半導体ソリューション(8)――省エネに貢献するモーター制御ソリューション : 福田昭のデバイス通信(10) (2/2 ページ)
モーターの制御で難しいのは、低速度での安定な運転である。特に位置センサーを省いたセンサレス・ベクトル制御では、高い精度と低い速度を両立することは難しいとされてきた。ルネサスは、高調波を使用する独自の制御アルゴリズムを開発し、起動時の高いトルクと、低速運転での高精度位置推定を可能にした。
展示ブースでは、電動アシスト自転車の駆動輪(前輪)が内蔵する永久磁石同期モーターを、非常にゆっくりとした速度で動かしてみせていた。
電動アシスト自転車の駆動輪(前輪)をゆっくりと回転させた様子(クリックで拡大)
展示ブースの様子。テーブルの上にセンサレス・ベクトル制御ユニットがある(クリックで拡大)
低速運転ソリューションの説明資料(クリックで拡大)
この他、ステッピング・モーターを永久磁石同期モーターで置き換えるソリューションが興味深かった。ステッピング・モーター(STPM)は、位置制御が簡単である、コストが低いといった特長を備えるものの、騒音がある、効率があまり高くないといった弱点を抱えている。そこで騒音がなく、効率が高い永久磁石同期モーター(PMSM)を位置制御に使うことで、静かで消費電力の低いモーター制御システムを実現できる。
ルネサスは、既存のステッピング・モーター駆動用指令信号を入力とする位置制御モジュールを開発し、永久磁石同期モーターへの置き換えを可能にした。
モーター置き換えソリューションの説明資料(クリックで拡大)
(次回に続く )
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