年次報告書を見れば、どの企業が躍進しているのか、確実に進歩を遂げているのはどの地域か、特許出願数が集中しているのはどの技術分野なのかなど、国際特許の概要がよく分かる。
今回明らかになったのは、中国が単なる“コピー大国”と見なされていた時代が、もはや急速に過去のものになりつつあるということだ。
WIPOのリポートによると、今回、特許出願件数において2桁の成長を達成することができたのは、中国だけだったという。中国は、低コストで製造を担う世界の工場としての位置付けから抜け出し、付加価値の高い製品/技術を開発する国家としての地位を獲得すべく、精力的に取り組んできた。一方で日本は、2013年の出願件数で第1位だったパナソニックが転落したこともあり、合計特許出願件数が減少する結果となった。
2014年におけるPCT特許出願件数の国別ランキングで第1位を獲得したのは米国で、前年比7.1%増となる6万1492件だった。第2位は日本で、4万2459件だったが、前年比では3%減となっている。第3位の中国は、前年比18.7%増となる2万5539件だった。
欧州は近年、厳しい経済情勢の中で悪戦苦闘していたが、力を取り戻してきたようだ。リポートによると、「今回、2007年以来初めて、欧州連合のトップ3カ国が、PCT特許出願件数において記録的な成長を遂げた。中でも、フランスと英国が大きな成果を達成している」という。
WIPOリポートは、35種類の技術分野から収集したデータを使っている。その中で、PCT特許出願件数が最も多かった分野は、コンピュータ技術の1万7653件だった。出願件数が前年比で大きく伸びた分野には、計測制御技術(21.4%)、コンピュータ技術(19.4%増)、医療技術(17.1%)、デジタル通信(14.5%)などがある。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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