IoT参入の中小企業を後押し、欧州が920万ユーロを投入 : ビジネスニュース 業界動向
モノのインターネット(IoT)分野への参入を図る中小企業を後押しする取り組みが、欧州で立ち上がった。IoT関連の技術を入手しやすくすることが、最初の大きな目標だ。欧州は、地域全体でIoT分野での存在感を高めようとしている。
欧州は、モノのインターネット(IoT)がエレクトロニクス業界を作り変えているという確信の下に、新たなプログラムを通じてIoT分野での存在感を強めようとしている。
欧州委員会(EC)による2500万ユーロ(約32億円)規模のプロジェクト「Smart-Anything-Everywhere」の一環として、EuroCPSが立ち上がった。EuroCPSは、3カ年構想で行われる予算規模920万ユーロ(約12億円)のプログラムの中で、主に中小企業がIoTというトレンドに乗れるよう後押ししていく。
研究機関「CEA-Leti」のプロジェクトマネジャーで、EuroCPSを率いるOlivier Thomas氏は「現在のエレクトロニクス業界は、微細化技術ではなく、ウェアラブル端末などのアプリケーションによって発展するようになってきている」と話す。
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Thomas氏は、今日のIoT設計において「まず、技術にアクセスできるかどうかが、第1の課題だ。中小メーカーや新規メーカーなど、大量生産を必要としない場合、技術にアクセスすることは難しい。メーカーは、年間100万個を購入してくれる相手を取引したがる。1万個では、はなも引っ掛けない状態だ」と述べている。
今回のプログラムには、欧州委員会(EC)加盟国の出身者なら、誰でも応募できる。Thomas氏は「プログラムの目標は、IoTというトレンドを利用して、半導体や電子部品の生産量を増やすことと、欧州の競争力を高めることである」と述べる。
EuroCPSでは、ソフトウェア、システム、エレクトロニクス業界間でネットワークを形成することを目指していて、IntelやSTMicroelectronicsなどが、各社の技術を提供してこの取り組みをサポートする。具体的には、
Thales(航空電子基板)
Schneider(接続キット)
STMicroelectronics(マイコン「STM32F」や、それに関連したソフトウェアなど)
Infineon Technologies(電源管理IC)
Intel(「Quark」を搭載した開発ボード「Galileo」)
などだ。
米国のスマートシティ構想など、EuroCPSと同様のプログラムは世界各地で始まっていて、IoT時代の到来をさらに加速させている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
IoTを考える――洗濯機とグリルの通信に、意味はあるのか
あらゆる分野でモノのインターネット(IoT)が注目されている。確かにIoTは、次世代エレクトロニクス産業の鍵を握る重要なテーマだ。だが筆者は、IoTの概念に対して懐疑的な気持ちを拭い切れない。
IoTに関する意識調査、回答者の8割がプライバシーに懸念
NXPセミコンダクターズは、米国で約2000人の一般消費者を対象に、IoTに対する意識調査を行った。それによると、回答者の81%が、IoTではプライバシーに対する懸念があると答えたという。一方で「IoTが生活を便利にする」と考えている人は69%に上った。メリットは理解していても、プライバシーが守られるのかどうか、懸念を拭い去れない消費者が多いことが明らかになった。
IoT市場、理想形とは程遠く
モノのインターネット(IoT)は、「2015 International CES」でも話題の中心だった。だが、スマートフォンを中心に多くの機器がつながるという意味では、準備が整っているとはとてもいえない状況であることが、CESで明らかになったのではないだろうか。IoT機器が消費者にどんなメリットを与えられるのか、大手家電メーカーさえうまく把握できていない印象を受ける。加えて、プライバシーとセキュリティの問題も解決が必要だ。
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「2015 International CES」に先立って開催されたプレスカンファレンスの基調講演で、Samsung Electronics(サムスン電子)のCEOを務めるBoo-Keun Yoon氏は、IoT(モノのインターネット)市場の成長のためには業界間の協業が不可欠であり、同社が言うところの“オープンエコシステム”が必要だと強く主張した。
IoTでは“セキュリティの悪夢”が起こり得る、専門家も警告
盛り上がる一方のモノのインターネット(IoT)市場だが、最大の課題の1つがセキュリティだ。何十億個もの機器がインターネットにつながるようになれば、その全てに最新のセキュリティ対策を施すのは非常に難しい。
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