ダイエッターの心を蝕む最も大きな要素の1つに、「停滞期」があります。実際、停滞期から抜け出せずに挫折してしまったという方もいるのではないでしょうか。今回は、私たちダイエッターを悩ます“停滞期の正体”を、「超シンプル体重シミュレーション」という、エンジニア的な視点で探ってみましょう。
「世界を『数字』で回してみよう」現在のテーマは「ダイエット」。人類の“永遠のテーマ”ともいえるダイエットを、冷静に数字で読み解きます。⇒連載バックナンバーはこちらから
『なぜダイエットは失敗するのでしょうか?』
という、私のシンプルな問いかけに、管理栄養士の先生はシンプルに答えてくれました。
『ダイエットをやめてしまうからですよ』
―― どんなダイエット法であっても、100%間違っているということはありません。摂取カロリーが消費カロリーより小さければ、必ず成功するものなのです。
―― 減量の仕組みは、純粋に、「摂取カロリー < 基礎代謝 + 運動消費エネルギー」だけです。他の法則は一切ありません。
―― ダイエット法が上手く働かないのは、「続かない」だけのことです。
―― ダイエットは、「短時間」で「楽に」かつ「ミラクル」であって欲しいと考える人が多く、そして、多くの人がそのようなダイエットと出会えず、失敗して終わるのです。
暑さが厳しい8月下旬の平日の夕方、汗をかきながら平成横浜病院に参上した私を、総合健診センターの中にある保健指導室で、管理栄養士の先生、伊藤先生と久保寺先生のお二人が、迎えてくれました。
私がその病院で生活習慣病の経過観察プログラム(ダイエットプログラム)を受けていたご縁もあり、インタビューを申し入れたところ、快く応じていただけることになりました。
ダイエット失敗時の問題として、よく取り挙げられる「リバウンド」の話になった時のことです。
江端:「多くのダイエット本で『リバウンド』の話がされていますが、『リバウンドの発生メカニズム』について、どこにも筋の通った説明がなくて困っているのです」
先生:「江端さん。『リバウンド』という概念は、まやかしですよ」
江端:「はい?」
先生:「『食事量を元に戻せば、元の体重に戻る』。これは、自明の自然法則ですよね」
大学で電子工学を先行していた私は、その瞬間、1つの回路図が頭の中に浮び上がりました。
(あっ、「ネガティブフィードバック」か。)
先生:「ダイエットとは、『体重を減らすこと』と『その体重を維持すること』の両方のことです。でも、多くの人は、この後半の考えがスッポリ抜けているのです。最近では、『リバウンド』という言葉は、『ライザップ』の件で騒がれることが多いようですが、『元に戻せば、元に戻る』。ただ、それだけのことです」
だから ―― 「ライザップ」は何も悪くないのです。
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