江端:「先生。私、これまで相当数のダイエットの本を読んできましたが、正直、もう『何が何だか分からない』という状態です。どうでしょう。先生たちの経験から、『これは確実に効果がある』と断言できるダイエット法を、一つ、バシっと言い切ってもらえませんか?」
かなりムチャな質問であることを知りつつも ―― 多分、その時の私は、ダイエットの検討で疲れ果てていたのだと思います。
伊藤先生と久保寺先生のお二人は、顔を見あわせて頷いた後に、おっしゃりました。
先生:「現時点において、最も効果があると認められるものは、「レコーディング」ダイエットですね」
江端:「食事の内容と体重を、毎日メモし続けるという、アレですか?」
先生:「正直、そこまでしなくてもいいのです。体重を記録してグラフに書き込むだけで十分ですし、さらに面倒なら『体重計に乗るだけ』でも、十分な効果が期待できます」
江端:「そんなに、効果があるものなのですか?」
先生:「レコーディングダイエットは、『体重の見える化』ばかりに視点が行きがちなのですが、実はそこだけが重要なのではありません。ダイエットというのは人間の数だけパターンがありますので、自分にとって一番良いダイエット法は、自分の身体に直接ヒアリングをすることなのです」
江端:「自分の身体にヒアリング……?」
―― つまりですね、
などを、自分の身体に直接尋ねるのですよ――。
江端:「ブラックボックスアプローチ*)……」
*)システム内部を完全に理解しないで、今までのシステムの動きだけを使って行う制御手法
先生:「『レコーディングダイエット』は、今日までのダイエットの経験(失敗も含めて)が、そっくり明日からのダイエットに活用できる、という点で優れているのです」
確かに、さまざまな自分の身体に特有のダイエットの知見が集まれば、例えば―― 2週間後に、ピッタリ2.4kg減量する ―― というような、超絶巧な体重コントロールだって、理論上は可能となるはずです。
そして、本当にそれを実現している人もいます(プロボクサーへのインタビューは、次回以降に掲載予定です)
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