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» 2016年12月02日 11時30分 公開

スマホに次ぐ成長分野を、日本モレックスの挑戦単品からソリューションの提供へ(2/2 ページ)

[庄司智昭,EE Times Japan]
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提案力をアドバンテージに

 長田氏は、方向転換を始めた当初について、「会社全体のマインドセットがなかなか変わらなかった。例えば、車載向けビジネスをしようとしても、デザインインまでに数年の期間が必要で、リソースのシフトが進められなかったからだ。2年間取り組んでベースが見えたため、2016年10月に大幅なリソースのシフトを行っている」と語る。

 具体的には、新規事業部門にエンジニアのリソースシフトを行った。顧客に対してエンジニアが同行し、提案と要望に対する対応を行わなければ、新しいビジネスが生まれないと長田氏は考えるからだ。また、顧客の要望を直接聞くことで、エンジニアが現場に戻ったときの開発力向上につなげていくことも狙いにある。

「MID」技術を用いた製品のイメージ (クリックで拡大) 出典:日本モレックス

 会社全体としては、“コネクター単品からソリューションの提供”を進めてきたという。その1つに、別の事業部が持つマイクロリボンケーブル「Temp-Flex」がある。高密度で正確な信号伝送を可能にするTemp-Flexは、医療機器に活用されているが髪の毛より細いため、接続には熟練した技術者が手作業をする必要がある。「この課題を、MSBUが得意とする自動化技術で結線をする取り組みを2〜3年前から取り組んでおり、一定の制約条件はあるが、自動化が可能になった」(長田氏)と語る。

 他にも、複雑な3D形状のプラスチック材にパターンを生成できる「MID:Molded Interconnect Device」にも取り組んでいる。2007年から開発しており、携帯端末用のアンテナなどに採用されている。直近では、金属の上に直接パターンを形成する「パウダーコーディング」など、車載機器に向けたMID製品の開発が進んでいるとした(関連記事:複雑な3D形状にパターン形成する「MID」とは?)。

 長田氏は、「EMS(電子機器受託製造サービス)をするつもりはない。言われた通りのデザインで設計をしても、値段競争にしかならないからだ。相当大きなチャレンジとはなるが、新しいソリューションの“提案力”をアドバンテージにしたい」と強調。その上で、長田氏は「新しいビジネスのデザインインまでには、どうしても時間がかかってしまう。売り上げに占める割合もまだゼロに近いが、5年以内に主力の売り上げの1つとすべく、活動していく。モバイルコンシューマー市場は緩やかに成長するが、製品価格の下落が進んでいくだろう。そのため、当社の成長としても、フラットな状態を保つことを目標としている。新しいビジネスが、次の成長を担うベースにならなければいけない」と語る。

日本にいることの強み

 最後に、スマートフォン市場は韓国や中国メーカーの勢いが目立つ中、日本でビジネスを行うことの強みについて聞いた。長田氏は、「IoTが普及する中で、ITとモノに当たる部分を両方持つ総合電機メーカーは、日本以外にほとんどない。今は元気がないかもしれないが、IoTで大きくイノベーションが起こる可能性があると思っている。当社も、アンテナを含めた幅広い製品によって、その成長に貢献していきたい」と語る。

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