応用分野別の売り上げを見ていこう。WDは売り上げを3つの分野に分けて公表している。すなわち、「クラウド(Cloud)」(パブリックあるいはプライベートのクラウド向け)、「クライアント(Client)」(直接販売、あるいは代理店経由の販売によるOEM向け)、「コンシューマー(Consumer)」(リテールそのほかの販売チャンネルによる一般消費者向け)、の3つである。
「クラウド」分野の売上高は前四半期比(前期比)13%減、前年同期比18%減の18億2900万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は前期から3ポイント上昇して49%となった。フラッシュメモリ応用品とHDDの売り上げは前年と比べて全体的に低下した。前四半期との比較では、米国の顧客向けエンタープライズ大容量HDDとスマートビデオ向けHDDが売り上げを伸ばしたものの、ほかのフラッシュメモリ応用品とHDD製品がふるわなかった。
「クライアント」分野の売上高は前四半期比(前期比)25%減、前年同期比34%減の12億2900万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は前期から3ポイント下降して33%となった。前期比の減少にはPCにおける在庫調整とフラッシュメモリの値下がりが影響した。前年同期比の減少はフラッシュメモリの価格低下が主な要因だとする。
「コンシューマー」分野の売上高は前四半期比(前期比)15%減、前年同期比30%減の6億7800万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は前期と同じ18%となった。前期比と前年比とも、フラッシュメモリの値下がりとリテール向けHDDの出荷減が響いた。
次は製品分類別の業績である。WDは「フラッシュ応用品」と「HDD製品」の売上高や粗利益率(Non-GAAPベース)などの数値を公表してきた。
2023会計年度第1四半期(2022年7月〜9月期)における「フラッシュ応用品」の売上高は前四半期比(前期比)28%減、前年同期比31%減の17億2200万米ドルである。粗利益率は25%で、前期の36%から11ポイント減と大きく低下した。
フラッシュ応用品のビット換算の出荷容量は、前の四半期から10%減少した。記憶容量当たりの平均販売価格(GB単価)は、全製品(Blended)で前四半期から22%減、同一製品(Like-for-like)で17%減といずれも大幅に低下した。
2023会計年度第1四半期(2022年7月〜9月期)における「HDD製品」の売上高は前四半期比(前期比)5%減、前年同期比21.3%減の20億1400万米ドルである。粗利益率は29%で、前期から1ポイント上昇した。
HDD製品の販売台数はクラウド向けが860万台、クライアント向けが340万台、コンシューマー向けが270万台である。前の四半期と比べ、いずれも減少した。クラウド向けが70万台減、クライアント向けが50万台減、コンシューマー向けが60万台減である。
HDD製品全体の販売台数は1470万台である。前の四半期と比べて180万台減となった。HDD製品の平均販売価格(ASP)は125ドルである。前期からは5米ドル増(4%増)と上昇した。
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