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Wi-Fi、WiMAX、LTEどれでも使える、コグニティブ無線に実用化の兆し無線通信技術 コグニティブ無線(2/2 ページ)

» 2009年06月23日 00時00分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]
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周波数共用型を初めてデモ

 KDDIは、ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2009で、ヘテロジニアス型のコグニティブ無線通信ネットワークのデモを見せた(図2)。LTEとWiMAX、 Wi-Fiの無線基地局と制御部で構成しており、制御部は各無線基地局から、いわゆる「環境情報」を収集する。環境情報として、LTEとWiMAXではスループット、Wi-Fiでは混雑度を収集した。利用する通信方式を選ぶ際の指標として、今回のデモではRSSIを使った。

図2 図2 実用化に向けた開発は着々と進む(a)はワイヤレス・テクノロジー・パーク2009でKDDIが見せたデモ。(b)はNICTが展示した周波数共用 型のコグニティブ無線システムである。基地局と無線端末それぞれが自律的に稼働したり、協調動作したりすることを見せていた。

 同展示会ではこのほか、NICTが周波数共用型コグニティブ無線のデモを見せた。空いている周波数を積極的に利用して、通信帯域を確保しようというものである。周波数共用型は、ヘテロジニアス型に比べて技術難易度が高いとされるが、実際に試作システムが問題なく動作することをアピールした。「周波数共用型のデモを見せるのは初めて」(石津氏)。

 実用化に向けた課題はいくつかある*1)。例えば、ヘテロジニアス型のコグニティブ無線システムでは、どのような指標を基に、無線端末が利用する通信システムを切り替えるのかが重要だ。KDDIのデモではRSSIのみを使ったが、指標にはこのほか、スループットや伝送遅延時間、混雑度などがある。「ユーザーが利用するサービスによって適した指標は異なる。実用化に向けて最適なアルゴリズムを検討しているところだ」(KDDIブースの担当者)。コグニティブ無線に対応した無線端末を、いかにコストを抑えて開発するかという点も課題である。

*1)周波数共用型を導入するには、現時点では障壁がだいぶ高いようだ。既存の無線通信システムに電波干渉を与えないことを保証するといった技術的な課題のほか、法改正も必要となる。

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