KDDIは、ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2009で、ヘテロジニアス型のコグニティブ無線通信ネットワークのデモを見せた(図2)。LTEとWiMAX、 Wi-Fiの無線基地局と制御部で構成しており、制御部は各無線基地局から、いわゆる「環境情報」を収集する。環境情報として、LTEとWiMAXではスループット、Wi-Fiでは混雑度を収集した。利用する通信方式を選ぶ際の指標として、今回のデモではRSSIを使った。
同展示会ではこのほか、NICTが周波数共用型コグニティブ無線のデモを見せた。空いている周波数を積極的に利用して、通信帯域を確保しようというものである。周波数共用型は、ヘテロジニアス型に比べて技術難易度が高いとされるが、実際に試作システムが問題なく動作することをアピールした。「周波数共用型のデモを見せるのは初めて」(石津氏)。
実用化に向けた課題はいくつかある*1)。例えば、ヘテロジニアス型のコグニティブ無線システムでは、どのような指標を基に、無線端末が利用する通信システムを切り替えるのかが重要だ。KDDIのデモではRSSIのみを使ったが、指標にはこのほか、スループットや伝送遅延時間、混雑度などがある。「ユーザーが利用するサービスによって適した指標は異なる。実用化に向けて最適なアルゴリズムを検討しているところだ」(KDDIブースの担当者)。コグニティブ無線に対応した無線端末を、いかにコストを抑えて開発するかという点も課題である。
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