Appleが台湾の携帯電話機メーカーであるHTCを10件の特許侵害で訴えていた特許紛争において、米国際貿易委員会は1件の特許について侵害を求めた。他の9件のついては侵害が認められないという判決を下した。
Appleは、台湾の携帯電話機メーカーであるHigh Tech Computer(HTC)のAndroidスマートフォンがAppleの特許を侵害しているとして、米国際貿易委員会(ITC)に提訴していた。ITCは、このうち1件の特許について、Appleの訴えを認める判決を下した。
この判決を受け、HTCは2012年4月19日までに、該当特許の侵害を停止する措置を取らなければならない。同特許は、電話番号や日付をタッピングすると、電話の発信やカレンダーエントリの作成ができる技術に関するものである。HTCが同社のスマートフォンの販売停止を防ぐには、該当特許を侵害しない技術を新たに開発するか、当面は同社の製品から同特許に関連する機能を取り除くかのどちらかを選択する必要がある。
ITCは、「Appleが提起した訴訟のうち、他の9件の特許については侵害が認められない」という判決を下した。HTCにとっては、シグナルプロセッシング技術1件を含むこれらの特許の方が侵害を回避するのが困難だったと思われる。
このモバイル特許紛争を追いかけてきたFlorian Mueller氏は自身のブログで、「この判決によって、近いうちにHTCが米国市場から撤退する可能性はないと考えられる。Appleは今後、よりヒットする商品や、HTCによる侵害が認められた特許よりも影響力の大きい技術を開発する必要があるだろう」と述べている。
Mueller氏は、EE Timesの取材に対して、「AppleやAndroidパートナー企業、Microsoftなど、スマートフォン大手がITCに提起している訴訟は、約100件に上る。これらの訴訟の決着には、1〜2年かかるだろう」と語った。
AppleとHTCの訴訟とは別に、英国の電話会社であるBritish Telecomも2011年12月18日、同社の保有する特許6件を侵害しているとして米国デラウェア州地方裁判所に対しGoogleを提訴し、モバイル機器の特許紛争に参戦した。British Telecomの特許は、ネットワークサービスの作成や、ネットワークサービスのナビゲーション情報の提供方法などに関するものである。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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