「あれ、リビングの電気つきっぱなし。消そうか?」という「照明@自宅さん」がつぶやいたコメントがソーシャルサービスのニュースフィードに流れる近未来へ。Ericssonが提案する「Social Web of Things」は、あらゆるモノやサービスを擬人化したユーザーインタフェースだ。膨大な数のモノやサービスを分かりやすく操作したり、管理することを目指して開発された。
各種センサー端末から家電、インフラ機器まで、あらゆるモノに通信機能を組み込んでネットワーク化する、いわゆる「モノのインターネット」や「M2M(Machine to Machine)」。今までにない新たな市場を創出するという期待から、ここ数年注目を集めている技術領域である。ただ、膨大な数のセンサー端末や家電が実際にネットワーク化されたとき、いかにこれらのセンサー端末や家電の状態を把握したり制御するか、難しい問題だ。
Ericssonは、モノのインターネット時代の到来を想定し、膨大な数の「モノ」や「サービス」を分かりやすく操作したり、管理したりするユーザーインタフェースを、無線通信関連の展示会/セミナー「ワイヤレスジャパン2012」(2012年5月30日〜6月1日、東京ビッグサイト)で紹介した。「国内では初披露」(エリクソン・ジャパン)だという。
Ericssonが提案するユーザーインタフェースは、「Social Web of Things」と名付けられたもの(紹介映像)。多くの人が日々利用しているSNS「Facebook」では、数多くの友人とのメッセージのやりとりや、インターネット上のさまざまなコンテンツが、分かりやすいユーザーインタフェースでまとめられている。Ericssonのユーザーインタフェースは、Facebookのユーザーインタフェースのイメージをモノやサービスの管理に展開しつつ、その上でモノやサービスを擬人化し、“友人”として扱う点が特徴的である。
具体的には、電力メーターや自動車、Webカメラ、照明、温度計、アラーム、カレンダーといった身の回りにあるさまざまなモノやサービスが「友人」として登録してある。これらの友人が、ユーザーインタフェース上のニュースフィードに、何らかのイベントがあると次々とメッセージを送る仕組みだ。
例えば、「照明@自宅」という友人から「あれ、照明ついているよ。消す?」というメッセージが送られると、利用者は「消す」または「消さない」を選択することができる。「消す」を選ぶと、別の友人であるWebカメラから「ちゃんと消されたか、確認してみる?」とメッセージが届くといった具合だ。
重要なのは、このようなユーザーインタフェース上の操作が、実際の機器に操作に直結しているという点だ。「一般の利用者は、意識することなくモノのインターネットというプラットフォームの恩恵を受けることができるだろう。これが、モノのインターネットを活用したサービスを普及させる上で重要だ」(同社)。
NTTドコモの生活支援サービス「iコンシェル」や、iPhone 4Sの音声アシスタント機能「Siri」などのように、利用者の親しみやすさを増すために「擬人化」を活用しているサービスは幾つかある。Ericssonの試みは、身の回りのあらゆる機器やサービスを擬人化して連携させた点が新しい。
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