東芝は、NAND型フラッシュメモリ市場で確実に売上高を伸ばし、Samsung Electronicsに次ぐ第2位のシェアを獲得した。2012年第1四半期の同市場において、プラス成長を遂げたのは東芝のみだった。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、東芝は、2012年第1四半期におけるNAND型フラッシュメモリ(以下、NANDフラッシュ)の売上高において、全サプライヤの中で最も成長率が高かったという。その売上高は17億1000万米ドルに達し、2011年第4四半期比で19%増となる。NANDフラッシュ市場における同社のシェアは、全体の34%に達した。
IHS iSuppliによれば東芝は、2012年第1四半期のNANDフラッシュメーカーの売上高ランキングにおいて、第1位のSamsung Electronicsに次ぐ第2位の座を維持した。Samsungの市場シェアは37%だった。
IHS iSuppliによると、2012年第1四半期のNANDフラッシュメモリ市場の売上高は、全体で1%減少しているという。他のNANDフラッシュメーカーは、いずれも同四半期における売上高が減少しているのに対し、東芝は、売上高を大きく伸ばすという成果を実現した。
NANDフラッシュ市場全体の売上高は、2011年第4四半期には50億5000万米ドルだったが、2012年第1四半期には49億9000万米ドルに減少した。
IHS iSuppliでメモリ部門のアナリストを務めるDee Nguyen氏によると、東芝は、2011年に生じた数々の問題を乗り越えて、2012年第1四半期に34%の成長を達成するに至ったという。
2011年3月11日に東日本大震災が発生し、東芝の生産能力は壊滅的な打撃を受けた。さらに、2012年第1四半期に繰越在庫を生じさせる要因となった市況の悪化により、東芝だけでなく、他のNANDフラッシュメーカーの売上高にも大きな悪影響が及んだ。
Nguyen氏は、発表資料の中で、「東芝は、数々の困難を克服して体勢を立て直すことにより、今回の優れた業績を実現した」と述べている。
2012年第1四半期のNANDフラッシュ市場は、価格の下落によって全体的に減速した。業界全体の供給量が増大した一方で、季節的に消費需要が低下する時期であったことから、供給と需要のミスマッチが反映される結果となったようだ。東芝以外のNANDフラッシュメーカーは、売上高を減少させている。ただし、Samsungのように売上高の低下が比較的少なかったメーカーから、Powerchip Technologyのように売上高が急激に減少したメーカーなど、その度合いはさまざまだ。
SamsungのNANDフラッシュの売上高は、2011年第4四半期には19億4000万米ドルだったが、2012年第1四半期にはその4%減となる18億6000万米ドルとなった。また、2012年第1四半期における同社の市場シェアは、2011年第4四半期から1ポイント減少している。
Powerchip Technologyの2012年第1四半期におけるNANDフラッシュの売上高は、前期比で35%減少した。SK Hynixは前期比14%減、Micron Technologyも前期比17%減となった。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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