国内の生産拠点の再編は、前工程と後工程それぞれ9拠点を対象としており、そのうち縮小もしくは譲渡・集約の対象は11拠点に上る。さらに早期退職優遇制度を実施し、同社と国内連結子会社の社員5千数百名を削減する方針だ。同社は17時から東京都内で記者会見を開催し、赤尾社長がこの施策について説明する予定。
ルネサス エレクトロニクスは、経営再建向けて「強靱な収益構造の構築に向けた諸施策の方向性」を取りまとめ、2012年7月3日にその概要を公表した。
同社は2011年度(2012年3月期)の通期決算で、東日本大震災やタイの洪水、欧州と中国を中心とする市況悪化などの影響を受け、半導体事業の売上高が前年度比23%減の7860億円まで落ち込んでおり、業績回復が急務になっている。その中で同社は、収益基盤の強化に向けて、生産効率化や財務基盤の強化などを加速しており、今回その一環として、同社グループの国内にある生産拠点の再編と、人的合理化施策の方向性を決定した。
国内生産拠点の再編については、半導体製造の前工程を手掛ける9拠点の15ラインと後工程を担当する9拠点を対象にする。注力分野に向けて生産体制の維持強化を図ると同時に、事業の選択と集中によって負荷が減少しているラインについては縮小や譲渡・集約を進める方針だ。具体的には以下の通りである。
前工程の拠点とラインについて、「生産負荷に応じた適正体格で運営を継続」としたのは、那珂事業所の8インチ/12インチライン、甲府事業所の8インチ、滋賀工場(ルネサス関西セミコンダクタ)の8インチ/GaAs、西条事業所の8インチ、川尻工場(ルネサスセミコンダクタ九州・山口)の8インチ。「生産能力を縮小、適正体格で運営を継続」としたのは、高崎事業所の6インチ、滋賀工場(ルネサス関西)の6インチ、高知事業所の6インチ。「生産能力を縮小し、運営。ただし、事業計画に従い譲渡または集約を検討」としたのは、鶴岡工場(ルネサス山形セミコンダクタ)の5インチ/12インチ、山口工場(ルネサス九州・山口)の6インチで、甲府事業所の6インチと高崎事業所の5インチは集約予定とする。
後工程の拠点について、「生産負荷に応じた適正体格で運営を継続」としたのは、米沢工場(ルネサス北日本セミコンダクタ)。「生産負荷に応じた適正体格で運営を継続。ただし、将来においては譲渡も検討」としたのは、大分工場(ルネサス九州・山口)と熊本(大津)工場(ルネサス九州セミコンダクタ)。「生産能力を縮小し、運営。ただし、事業計画に従い譲渡または集約を検討」としたのは、函館工場(ルネサス北日本)、青森工場(ルネサスハイコンポーネンツ)、福井工場(ルネサス関西)、柳井工場(ルネサス柳井セミコンダクタ)、山口工場(ルネサス九州・山口)、熊本(錦)工場(ルネサス九州・山口)である。
人的合理化施策については、早期退職優遇制度に基づく人員削減を柱とする。同制度の実施について2012年7月3日に労働組合に申し入れ、協議を開始した。
この早期退職優遇制度は、ルネサス エレクトロニクスと国内連結子会社の社員を対象に実施する。募集期間は2012年9月18〜26日で、退職日は2012年10月31日。優遇措置としては、通常の退職金に特別加算金を加算して支給する。また希望者に対して、外部の就職支援会社による再就職支援を実施するという。募集人員については、「上限などは特に定めていないが、5千数百名の応募を想定している」(ルネサス エレクトロニクスの報道発表資料)という。
なおルネサスは、今回概要を発表した施策について、2012年7月3日の17時から東京都内で記者会見を開催する。代表取締役社長の赤尾泰氏と取締役執行役員の鶴丸哲哉氏が登壇する予定だ。その会見の内容は追ってお伝えする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.