IEEEの予測によると、データトラフィックは、2015年までに10倍、2020年には最大100倍になる可能性があるという。増加の一途をたどるデータトラフィックに対応するために、400Gビット/秒イーサネットか、1Tビット/秒イーサネットの実現に向けて議論が続いている。
IEEEのイーサネット標準化グループが発表した新しいリポートによれば、データトラフィックは2010年から2015年にかけて10倍に増加し、さらに2020年までには最大で100倍に急増する見込みだ。今回の調査は、40Gビット/秒および100Gビット/秒イーサネット規格を超える将来のイーサネットインタフェースの実現に向けて、取り組みの基盤を構築するために実施したという。
IEEEの評価グループ「IEEE 802.3 Ethernet Bandwidth Assessment」は、過去1年間を費やして44ページに及ぶリポートを作成した。このリポートは現在、オンラインで公開されている。幅広い市場や地域別市場を対象とした11種類の説明資料から、データを採用したという。
リポートによると、「今回の予測値が現実のものとなり得るかどうかは、イーサネットコミュニティが今後、時代とともにコストを継続的に削減できるかどうかにかかっている。もし実現できれば、トラフィックが指数関数的に増大しても、対処できないほどのコストが発生するには至らないだろう」とされている。
さらに同リポートは、「増大が見込まれるトラフィックへの対処方法として、100Gビット/秒を上回る伝送速度を新たに導入すべきなのか、または既存のインタフェースの数を増やすべきなのかが問われている。こうした課題に対応するには、コスト効率に優れたソリューションを提供することで、より高い伝送速度を実現できるかどうかが鍵となる」と付け加えている。
IEEE評価グループは、次なる目標として400Gビット/秒またはT(テラ)ビット/秒の実現を掲げるべきかどうかをめぐり、過去2年間にわたって活発な議論を重ねてきた。イーサネット規格はこれまで、10倍単位で帯域幅を増加させてきた。しかし一部のエンジニアからは、Tビットイーサネットが実現すれば、技術的に過度の負荷がかかり、増大するコストに対応できなくなるとする意見もある。
現在のところ、こうした課題については論議の余地が残されている。リポートでは、「こうした課題に対応するための最適な手法の決定に関しては、今後の標準化活動に委ねられている」としている。
また評価グループは、増大する帯域幅需要について、大量のデータを収集しているという。
世界のインターネットユーザーは、2010年には19億人だったが、2015年には30億人に増加する見込みだ。最もユーザー数が多いのは、日本を除くアジア太平洋地域の13億人。次いで、中東/アフリカ地域が4億9500万人である。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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