Microsoftのタブレット「Surface RT」は、Appleの「iPad」よりも、1台当たりの販売利益が大きいという。Microsoftは、Surfaceを他社製品と差別化する鍵となるのが、端末カバー兼キーボードであるタッチカバーだとしている。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliの分解リポートによると、Microsoftのタブレット端末「Surface with Windows RT(Surface RT)」は、Appleの「iPad」よりも1台当たりの販売利益が大きいという。
同社の分解サービス部門によると、32GバイトのNAND型フラッシュメモリを搭載し、タッチカバーが付いているSurface RTは、部品コスト(BOM)が271米ドルだという。製造コストの13米ドルをプラスすると、Surface RT1台当たりのトータルコストは284米ドルになる。
IHS iSuppliは「タッチカバー付きの32Gバイト版Surface RTの小売価格は599米ドルなので、1台当たりの販売利益は315米ドルになる。小売価格が499米ドルのタッチカバーなしのモデルでも、利益率、1台当たりの販売利益共に、下位モデルのiPadよりも大きい」と分析している。
分解リポートでは、Surface RTが搭載する半導体のメーカーについても明らかにされている。具体的には、Samsung ElectronicsやFreescale Semiconductor、Atmel、NVIDIAなどの半導体メーカーのチップが採用されているという。
IHS iSuppliの分解サービス部門でシニアディレクタを務めるAndrew Rassweiler氏は、「Microsoftは、ソフトウェアだけでなく、機器/サービスも提供するメーカーへと転身を図っている。Surfaceは、Microsoftのこうした戦略の主軸となる製品である」と述べている。
Rassweiler氏によると、Microsoftの戦略の鍵は、それ自体で高い利益を創出できるハードウェア製品を提供することにあるという。同氏は、「ハードウェアという観点で見ると、Surfaceは成功している。Surfaceは現時点の小売価格において、利益率が高いと言われているiPadよりもさらに高い利益率を実現した優れたタブレットだ」と述べている。
タッチカバーは、Surfaceを他社のタブレットと差別化する重要な要素の1つだ。タッチカバーは、基本的にはタブレットのカバーだが、タッチセンサーを利用したフルキーボードとしても機能する。キーボードとしても十分に使えるし、手前にはタッチパッドも付いているので、Surfaceをスタンド(キックスタンド)に立ててタッチカバーをその手前に置けば、ノートPCのように使用することもできる。
Rassweiler氏は、「このタッチカバーによって、SurfaceはノートPCとしてもタブレットとしても使うことができ、両方の良い面を享受できる製品になっている。タッチカバーは、SurfaceとiPadの差別化要因にもなっている」と述べている。
同氏は、「タッチカバーに引かれて、より販売利益の大きい、タッチカバー付きモデルの購入を検討するユーザーが増える可能性もある」と分析している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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