市場調査会社の試算によると、Samsung Electronicsの最新スマートフォン「GALAXY S4」の部品コストは推定236米ドルで、現行機種の「GALAXY S III」よりも30米ドル増加しているという。最新機種はフルHDのAMOLEDディスプレイを採用しており、これが部品コスト増加の主な要因とされている。
Samsung Electronicsが2013年3月に発表したスマートフォンの最新機種「GALAXY S4」。米国の市場調査会社であるIHS iSuppliの分析によれば、GALAXY S4のHSPA+対応版(16Gバイト)の部品コスト(BOM)は、現行機種を上回る236米ドルだという。また、製造コストを含めると244米ドルなると試算している。
GALAXY S4のBOMは、IHS iSuppliが2012年9月に分解して解析を行った「GALAXY S III」よりも30.40米ドル高かった。GALAXY S4のBOMは、GALAXY S IIIに比べ15%増加したことになるが、これは、GALAXY S4に採用された高性能ディスプレイのコストによるところが大きいという(関連記事:Samsungの最新スマホ「GALAXY S III」を分解、クアッドコアのダイ写真も公開)。
IHS iSuppliのコスト・ベンチマーキング部門でシニアアナリストを務めるVincent Leung氏は、報道発表資料の中で、「GALAXY S4にはGALAXY S IIIとほぼ同じハードウェアが採用されたが、機能を強化するために、一部の部品を最新のものに差し替えた。その結果、部品コストが高くなった」と述べた。
Leung氏によれば、アップグレードした部品には、フルHD(高品位)ディスプレイ、Samsung製のプロセッサ、新しいセンサーなどが含まれるという。特にセンサーの数が多く、Leung氏は「これほどの数のセンサーを搭載したスマートフォンは、今までなかっただろう」と述べている。「より大型のディスプレイを採用したり、センサーの数を増やしたりといった変更点にもかかわらず、端末の横幅や、扱いやすさはGALAXY S IIIとほとんど変わらない」(Leung氏)。
GALAXY S4は、フルHDのアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)ディスプレイを採用している。このディスプレイはSamsung Display製で、画素数は1920×1080である。一方、GALAXY S IIIには、1280×720画素のWXGAのディスプレイが搭載されている。
ディスプレイとタッチスクリーンのコストは75米ドルと推定され、GALAXY S IIIの65米ドルから増加した。GALAXY S4とGALAXY S IIIの部品コストを比較した場合、この増加幅が最大となる。
IHS iSuppliの中小型ディスプレイ部門でディレクタを務めるVinita Jakhanwal氏は、「多くのメーカーがフルHDの液晶ディスプレイを用いたスマートフォンを発売する中、SamsungはGALAXY S4にフルHDのAMOLEDディスプレイを初めて採用した」と述べた。
また、GALAXY S4(HSPA+版)のアプリケーションプロセッサは「Exynos 5 Octa」とされている。
IHS iSuppliは、Samsungが発表した情報や、部品やサプライヤの既存の情報を基に、GALAXY S4の部品コストを試算した。
【翻訳:平塚弥生、編集:EE Times Japan】
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