ルネサス エレクトロニクスは2013年6月26日、定時株主総会を開催した。この日までに完了するとみられていた産業革新機構などの第三者割当増資に伴う払い込みは実施されず、従来の主要株主の構成で総会が実施された。
ルネサス エレクトロニクスは2013年6月26日、定時株主総会を開催した。この日までに完了するとみられていた産業革新機構などの第三者割当増資に伴う払い込みは実施されず、従来の主要株主の構成で総会が実施された。
総会の冒頭、議長を務めた代表取締役社長の鶴丸哲哉氏から、2013年2月22日の臨時株主総会で承認された産業革新機構をはじめ、トヨタ自動車、日産自動車など9社に対する第三者割当増資に伴う払い込みが総会前日までに行われなかったことが報告された。払い込み時期について鶴丸氏は、「当初からの払い込み期限である2013年9月末より遅くなるとの懸念はない」と述べた。
総会では、2013年3月期の事業報告、株主からの質疑応答などを経て、取締役、監査役の選任などの議案が承認され、1時間15分程度で閉会した。
取締役には、引き続き代表取締役社長を務める鶴丸氏と留任の水垣重男氏とともに、新任として前オムロン取締役会長の作田久男氏が選任された。作田氏は、総会後の取締役会を経て、代表取締役会長に就任する。
さらに、第三者割当増資に伴う払い込み完了日の翌日から効力が生じるとの前提で、産業革新機構専務取締役の朝倉陽安氏と、同社投資事業グループ執行役員の柴田英利氏が取締役に選任された。なお両氏は、社外取締役に就任する予定。
総会では、鶴丸氏が、経営再建途上にあるルネサスが、「今後、対処しなければならない課題」に関して説明を実施した。その説明の中で鶴丸氏は、「主力事業である半導体事業の売上高が減少するなど、業績回復が急務である。同時に財務体質を健全に戻す必要がある。そのためには2つのことが必要だと考える。1つは、安定的な収益体質の実現に向けた構造改革の推進。もう1つは、組織の簡素化、仕事の回転率向上による事業効率の改善だ」と述べた。
構造改革の推進については、これまで推進してきた、早期退職優遇制度の実施などによるコスト削減や収益事業への集中、生産構造改革という改革策を「基本的には、これらのことをさらに着実に、確実に進めていく」とし、これまでと大きく変わらない姿勢を示した。その上で、さらなる追加合理化策として、設計開発、生産など各子会社の統合などを検討していることを明かし「数を減らすだけでなく、仕組みを簡素化し、広いスパンで物事を素早く判断できる体制を構築する。ルネサスは非常に幅広いレンジで製品を作っているが、収益改善などのためには中核事業への一層の集中ややり方を変える必要がある。その中で、モバイル向けSoC事業については、3月に発表した通り(関連記事:「Qualcommと肩を並べる」はずだったルネサス モバイル、事業売却へ)、いろいろな方策を考えていきたい」と語った。
組織の簡素化としては、2013年2月に執行役員を16人体制から8人体制に縮小した上で、7本部体制から4本部体制に移行したことを報告するとともに、本部下の統括部を従来の3分の2程度まで集約したと明らかにした。鶴丸氏は、「現在、統括部下の“部”や“課”も集約するよう話し合いを進めている。9〜10月には、(9月に予定する)早期退職優遇制度実施後の新しいルネサスとしての体制となる」とした。
従来方針と大きく変わらない構造改革策を表明する中で、「私が付け加えたことは、仕事の回転率向上による事業効率の改善」と強調した。「これまでは100のコストを80にするために苦心してきた。しかし、市場が変化する、競合が変化する中では、時間軸から考えて、仕事の回転率を向上させることが重要だと考えている」とし、全社レベルでKPI(重要業績評価指標)による管理を徹底し事業効率を改善させる方針を述べた。
(※総会での質疑応答はこちら)
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