“曲がるディスプレイ”市場は今後、年平均成長率53%で成長し続け、2023年には270億米ドル規模に達すると予測されている。曲面ディスプレイを用いた有機ELテレビを既に発売しているサムスン電子やLG電子に加え、ソニーも2013年後半に、曲面型の液晶テレビを投入する予定だ。
タッチスクリーン市場や新型ディスプレイ技術を専門に調査する米Touch Display Researchが、フレキシブル/曲面ディスプレイ市場に関する報告書を発表した。同社は、その中で、「フレキシブル/曲面ディスプレイ市場は軌道に乗り始めており、今後さらなる成長が期待される。同市場は、電子書籍リーダー端末などのモバイル機器向けのフレキシブルディスプレイから、没入型の視聴体験を提供する曲面ディスプレイまで多岐にわたり、急速に成長している」と述べている。
Touch Display Researchでプレジデント兼アナリストを務めるJennifer Colegrove氏は、「2013年のフレキシブル/曲面ディスプレイ市場は、3億8800万米ドルに達する見通しだ。今後も年平均成長率53%で成長を続け、2023年には270億米ドル規模に達すると予想される」と述べている。
同社の報告書によると、2014年には特に、フレキシブルな電気泳動ディスプレイが急速に成長するという。曲面有機ELディスプレイや曲面液晶ディスプレイについては、2016年以降に急速な成長が始まると予測している。
実際に、曲面ディスプレイを用いたテレビ市場は既に始動している。LG ElectronicsとSamsung Electronicsは、既に韓国で曲面テレビを発売している。ソニーは、曲面型の液晶テレビをクリスマス商戦向けに投入するとしている。
同報告書によると、現在、フレキシブル/曲面ディスプレイの設計開発に取り組んでいる企業/研究機関の数は260に上るという。
テレビや電子書籍リーダー端末の他にも、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)向けのウェアラブルなフレキシブル/曲面ディスプレイ市場も動き始めている。その一部は、2014年に市場参入を果たす見通しだ。
その一例がスマートウオッチである。現在のスマートウオッチはほとんどが柔軟性のないディスプレイを使っているが、Touch Display Researchは、「人間工学に基づいて装着感を高めたり、表面積を増やしたりしたリストウェア向けの曲面ディスプレイの需要が爆発的に高まる」と予想している。
Touch Display Researchは「時は熟した」と述べ、「機器メーカーは、フレキシブル/曲面ディスプレイの需要に応えられるだけの材料やサブシステムを入手できる状況にある」と説明している。高価なITOを用いない透明導電膜や、透明導電フィルムをロールツーロールで量産する技術も開発が進んでいる。
ただし、Touch Display Researchは、「フレキシブル曲面ディスプレイ市場が270億米ドル規模に成長するには、克服しなければならない数多くの課題がある」とも述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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