AWR Japanは、RF/マイクロ波対応の電子回路設計に向けた統合開発環境「Microwave Office」や、3D有限要素法の電磁場解析エンジン「Analyst」、通信システムシミュレータ「Visual System Simulator(VSS)」などの最新技術や機能について、デモを交えて紹介した。
AWR Japanは、「マイクロウェーブ展2013」(2013年11月27〜29日、パシフィコ横浜)で、RF/マイクロ波対応の電子回路設計に向けた統合開発環境「Microwave Office」や、3D有限要素法の電磁場解析エンジン「Analyst」、通信システムシミュレータ「Visual System Simulator(VSS)」などの最新技術や機能について、デモを交えて紹介した。
AWRが提供する高周波回路設計環境の特長は、開発環境であるMicrowave Officeと、アプリケーションに特化したツール群をシームレスに統合することが可能なことである。Microwave Officeは、MMICの設計からマルチチップモジュール、プリント基板の設計など、さまざまなRF/マイクロ波回路設計に対応できるソフトウェアである。アプリケーションに特化したツール群としては、AnalystやVSSのほか、3Dプレナの電磁場解析エンジン「AXIEM」などがある。
これまでは、開発環境と専用の解析ツールが異なるベンダーから供給されると、シームレスに統合することが難しく、ツール間で設計データの受け渡しを行うためのソフトウェアをユーザー自身で開発するか、解析エンジンの出力結果を、開発環境に手作業で入力していた。これに対して同社が提供する開発ツールは、UDM(Unified Data Model)技術により、「全てのプラットフォームを統合している」(説明員)のが強みとなっている。
例えば、Microwave OfficeとAnalystを連携して使った場合、ツール間でのデータファイルのやり取りが不要となり、回路設計やシステム全体の検証などを効率よく行うことができる。また、Analystはパラメータスイープの解析にも応用できる。スイープを設定すると回路モデルにその変数が登録される。「35パターンを設定しておくことができる」(説明員)という。
同社ブースでは、ダウンコンバータにおける誘電体の構造解析や、スマートフォンなどで複数のアンテナを筐体に内蔵した時のアンテナ特性の解析、ICチップと基板をつなぐワイヤボンディングのミスなどを防止するための接続チェック、といった解析事例を紹介した。
さらに、レイアウト機能も紹介した。すでに、多くの3D Pcellがライブラリとして用意されている。このライブラリを活用して、「コネクタなどの部品を容易に配置することができる」(説明員)という。新たに出荷を始めたマルチフィジックス有限要素法(FEM)電磁解析ソフトウェアの新バージョン「Analyst-MPバージョン11」では、独自の3D Pcell作成機能などを強化した。この機能を使って、ユーザーが全く新しい3D構造の部品を設計したり、ライブラリにある部品の構造を変更したりすることができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.