世界電子廃棄物地図のデータベースによれば、2012年において市場に投入された電子機器の数量とその廃棄量が最も多かった国は、中国と米国だった。市場への投入量は、中国が第1位で1110万トン、米国が2位で1000万トンだった。
1年間で生じた電子廃棄物量は、米国がトップで中国が2位だ。米国はかつて、市場に出回る電子機器の数量がもっと多かったが、多少減ったようだ。2012年における米国の電子廃棄物量は、世界最高となる940万トン、第2位の中国は730万トンだ。ところが、世界最大の経済大国である両国の電子廃棄物量を国民1人当たりに換算すると、その差が大きく開く。米国民1人当たりの電子廃棄物量は29.8kgで、主要国の中では最多となる。中国は1人当たり5.4kgであることから、米国の廃棄物量は中国の約6倍にもなる。
世界電子廃棄物地図は、電子廃棄物に関する規則や規制、政策、指針などについても情報を提供する。これらの情報は主に、StEPメンバーであるCompliance & Risk(C&R)が開発した知識管理プラットフォーム「C2P(Compliance-to-Product)」から取得している。こうした情報を利用することで、全世界で電子廃棄物の問題に取り組む上での要望や、一貫性の欠如などを浮き彫りにしていく。
米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のMaterials Systems LaboratoryとNCER(National Center for Electronics Recycling)は、共同で研究に取り組み、世界電子廃棄物地図の中でリポートを発表している。同研究は、米国政府の「電子製品管理のための国家戦略(National Strategy for Electronics Stewardship)」の支援によって、米環境保護局(EPA)から資金提供を受けているという。
米国における使用済み電子機器の発生量や収集量、輸出量などに関する詳細な分析を行った研究リポート「Quantitative Characterization of Domestic and Transboundary Flows of Used Electronics(国境を越えて移動する使用済み電子機器の定量的特性評価)」によると、PCやモニター、テレビ、携帯電話機などの使用済み電子機器の数は、2010年は約2億5820万台だったという。このうち、使用済み電子機器として収集される数量が最も多かった製品は携帯電話機で、約1億2000万台だ。一方、重量ベースでみると、最も大きな割合を占めたのはテレビとPCモニターだった。使用済み電子機器の国境を超えた動きをめぐり、世界的な関心や懸念は高まっているが、関連データは不足している状況にある。
さまざまな種類のデータソースが存在するものの、使用済み電子機器の情報を得ることは難しく、一貫性のあるデータが不足している。ただし、電子世界廃棄物地図やMIT/NCERの研究などによって、こうした状況に対処できるようになるだろう。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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