Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)は2014年11月5日、中国・四川省の成都に300mmウエハー対応のパンプ形成工場を開く計画を発表した。
Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ/以下、TI)は2014年11月5日、中国・四川省の成都に300mmウエハー対応のバンプ形成工場を開く計画を発表した。TIは2010年、中国に生産施設を建設する「長期的な中国戦略」を発表したが、今回の計画はこの戦略の第3段階になるという。
バンプ形成は組み立て工程より前に完了する新たな製造工程だ。TIによると、このプロセスは、ウエハーレベルのデバイスに突起状もしくはボール状のはんだを付けるプロセスで、相互接続手法としてワイヤーボンディングに置き換わるという。
TIのTechnology and Manufacturingグループでワールドワイドマニュファクチャリングのバイスプレジデントを務めるPaul Fego氏がEE Timesに語ったところによると、新たな拠点の開設によって「幅広い技術プラットフォーム」の顧客と「大量生産のニーズを持つ大規模な顧客ベースをサポートする製造基盤」を確保しようと努めているという。
TIは同社の中核事業であるアナログICとパワーマネジメントIC事業の急激な拡大に対応するための生産能力の増強に重点的に取り組んでいる。
Gartnerのリサーチ担当バイスプレジデントであるDean Freeman 氏は、TIが300mmウエハーの処理能力を備えた2社のアナログ企業のうちの1社(関連記事/もう1社はInfineon Technologies[関連記事])である点を指摘した上で、新たな300mmウエハーのバンプ形成工場はTIが300mmウエハーを使ったアナログIC製造技術での主導的な地位を維持するのに役立つと述べた。
Gartnerによると、TIは2013年に194億米ドルの売り上げを挙げ、世界アナログ市場で21.4%のシェアを獲得した。Gartnerは2014年にはTIの売り上げが211億5400万米ドルに達すると予測している。
GartnerのFreeman氏は、バンプ形成は「デバイス向けの数多くのパッケージング方法の1つであり、ウエハーレベルのパッケージングの製造方法として支持される傾向にある」と述べた。
Fego氏はバンプ形成を高度なパッケージング技術の「極めて重要な」製造プロセスと見なしている。
Fego氏の説明によると、バンプ形成には非常に多くの方法があるため、アナログIC自体の差異化につながるような技術領域だという。例えば、組み込みチップの速度を速めるための技術や、チップの高集積化に必要な小型化や薄型化を実現するための技術などがある。
TIの新たな300mmウエハーのバンプ形成工場は、さまざまなバンプ形成・プロセスに対応するようになる。Fego氏は「当社はまず基盤技術を確立し、生産効率を高めた上で、バンプ形成技術を用いたデバイスを提供する」と述べた。
TIは2010年に中国・成都の200mmウエハー対応工場を地元のファウンドリであるSMICと中国政府から買収して以降、中国戦略を本格的に展開している。同工場は現在、アナログICの生産施設として用いられている。
その後2013年12月には、TIはUTAC Chengduから35万8千平方フィート(約3万3000m2)の製造施設を買収。中国で組み立て、試験といった後工程製造を行えるようにして、同日完成祝賀会を行った。TIによれば、この工場は現在十分な能力を備えており、高度なQFNパッケージ技術を用いた生産が行われているという。
なお、300mmウエハーのバンプ形成工場は、同社が2010年に取得した成都工場第2建屋を使用し、2016年前半に生産を開始する予定だ。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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