人工衛星向けの研究では、人工衛星に用いられる1000ピンを超える大型コネクタをTLCで試作し、コネクタサイズを従来の1/246に小型化し、人工衛星打ち上げ時などに想定される振動などにも耐えうることを実証した。コネクタの小型化に際しては、片方向にしか信号伝送できないTLCを、2箇所で結合させて双方向に信号を分配できるBi-directional TLC(BD-TLC)を開発。共用バスにした場合に発生する波形の歪みを校正する独自回路を盛り込むことで、実現した。同時に、シングルエンドの信号を、差動信号に変換する機能を持つTLC「Single-ended to Defferential Conversion TLC」(SDC-TLC)も開発し、DRAMなどからの配線数を半減させる技術なども盛り込んだ。
黒田氏はこれら一連の開発成果を得たことにより「スマートフォンなど民生機器分野で現状、フレキシブル配線板と機械式コネクタを用いて接続している基板間接続用途をTLCに置き換えた製品が早ければ2016年にも市販化されるだろう。自動車用途でも、信頼性が要求される人工衛星でも使用可能なことが証明されたことにより、採用検討が加速する見通し」として、早期の実用化を目指す方針だ。
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