開発したYAG単結晶蛍光体は、シリコンはじめ多くの単結晶作製に用いられるCZ(Czochralski)法により融液から育成した単結晶YAGインゴットをベースに蛍光体プレート、蛍光体パウダーに加工して作成した。いずれの形状でも、室温での内部量子効率が0.9以上で、300℃においてもそれがほとんど劣化しないということを確認し、「蛍光体としては世界初となる優れた温度特性を持っていることが分かった」(NIMS)。
また、開発したYAG単結晶蛍光体と従来の焼結YAG粉末蛍光体にレーザー光を照射しながら光の強度を上げていった結果、YAG単結晶蛍光体の温度上昇は常に従来の焼結YAG粉末蛍光体よりも低いことが分かったとする。
その結果、これまでのYAG蛍光体が抱えた温度上昇しやすいという課題と、温度上昇した場合に発光強度が弱くなるという課題の両方を同時に解決することに成功した。
YAG単結晶蛍光体の開発により、高輝度、高出力のレーザー照明が実現できるようになる他、従来に比べレーザー光源の放熱機構を簡素化することにより、機器の小型化、低コスト化も見込まれる。
なおタムラ製作所は、レーザープロジェクタやレーザーヘッドライトなどのレーザー照明製品向けの単結晶YAG蛍光体を2016年3月末までに量産することを目指し、体制整備を進めているとしている。
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