Samsungは、28nmプロセス以降は、どのプロセスノードに投資すべきかについて議論を重ねたという。そして、数年かけて14nmプロセス技術を開発してきた。Low氏は、「28nmチップは、価格の安さから今後数年間は需要が続くだろう」と予想している。
同氏は、「当社は3年前に14nmに移行することを決断したが、簡単な決断ではなかった。当時は、20nmプロセスとFinFETのどちらに移行していくのが正しい判断なのか、分からなかったからだ。当社が提供できる20nmチップには、物理的な限界があった。20nmは、プレーナ型アーキテクチャを適用できる最後のノードとされている。20nmチップの需要もなくはなかったが、理想的な製品とは言えなかった」と説明した。
一方でFinFETは、より高い性能と出力を実現できるが、量産に入るまで時間がかかるというリスクがあった。さらに、3次元構造(3D)の性質を理解し、SoCとして設計した時にどのような挙動を示すのかを研究する必要があった。
「3DのFinFETにおける寄生抵抗/寄生容量は、プレーナ型とはまったく異なる。われわれは、設計者が、よりスムーズにプレーナ型からFinFETに移行できるよう、設計の抽象度などを見直す必要があった」(Low氏)。
Samsungは、28nmプロセスのFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)の開発も進めている。Low氏は、14nm FinFETではトランジスタ1個当たりのコストが上昇するため、代替技術として、28nm FD-SOIのような、より安価なトランジスタ技術が不可欠になると強調している。
現在Samsungは、IBMの研究所であるAlbany NanoTech Complex(米ニューヨーク州アルバニー)とともに、新しい材料とアーキテクチャの開発に取り組んでいる。Low氏は、14nm以降の次世代プロセスについては何も明らかにしなかった。
【滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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