5Gを実現して活用する――NECの2020年ネットワークビジョン : ビジネスニュース 企業動向 (3/3 ページ)
Network 2020でのRANに要求される条件として、NECは現状のRANと比べ、面積当たり容量で100倍、接続端末数/ユーザーレートで10〜100倍などと想定。それら要求に応えるために必要なRAN構成技術として、「RAN機能の仮想化技術」「セルの仮想化技術」の2つを挙げる。
想定するRAN構成技術 (クリックで拡大) 出典:NEC
RAN機能の仮想化技術とは、現状、汎用サーバ側で行っているRANの通信処理を仮想マシン上に集約し、その上で処理の一部を基地局など端末(エッジ)側に持たせる「モバイルエッジコンピューティング(MEC)」を行うもの。これにより、端末とサーバ側バックエンドのデータトラフィックを減らすとともに、低遅延要求に応えるとする。MECの適用範囲としては、交通制御、自動運転といった自動車分野をはじめ、工場制御や映像配信サービスを想定する。なお、サービス提供範囲が広域に及ぶスマートグリッドや気象予測などの領域では、エッジではなくクラウド処理をベースにし、仮想化による柔軟性を発揮させて最適化を図る。
RAN機能の仮想化イメージ(左)とモバイルエッジコンピューティング(MEC)のイメージ (クリックで拡大) 出典:NEC
そしてもう1つの次世代RAN構成要素であるセルの仮想化は、限られた周波数リソース、技術リソースの中で、大容量、高速、低遅延といった次世代無線通信を効率的に行うための技術であり、基地局(サイト)が互いに協調しながらトラフィックに応じて、その構成を動的に変え、無線サービス提供エリア(セル)を最適化させる技術だ。
セルの仮想化イメージ (クリックで拡大) 出典:NEC
セルの最適化には、5Gで実現されるであろう、ユーザー分布に合わせてセルの形状を変える3Dビームフォーミングや容量拡大を図る超大規模MIMOが不可欠だ。
モバイル通信向け基地局/アンテナを手掛けるNECでは、3Dビームフォーミング/超大規模MIMOを実現するための要素技術として、既にスモールセル向けのアンテナ素子数128という超多素子アンテナを開発。開発した超多素子アンテナにより、8つのビームを生成する基礎動作をNTTドコモなどと共同で実証するなどしている。
左=開発した128のアンテナ素子を搭載したスモールセル向け超多素子アンテナ / 右=超多素子アンテナによる大容量化の原理図。セルを分割することで、仮想的に複数のアンテナを使ったセルを1つの超多素子アンテナで作り出す。4分割であれば、原理的に容量は4倍になる (クリックで拡大) 出典:NEC
NECでは、策定したNetwork 2020を実現すべく、超多素子アンテナ同様RAN、クラウドなど幅広い領域で要素技術開発を実施。2020年の5Gの実用化、5Gに応じた新たなネットワーク網の構築に貢献していく方針だ。
5Gの実現に立ちはだかる2つの壁
第5世代移動通信(5G)の標準化活動が世界各地で加速している。EE Timesは、次世代無線技術を研究するニューヨーク大学科学技術専門校 次世代無線研究センター「NYU Wireless」でディレクタを務めるTheodore Rappaport氏に、5G実現に向けた課題などを聞いた。
MWC 2015もキーワードは“コネクテッド”、IoTや5G関連技術に注目
スペイン バルセロナで開催される「Mobile World Congress(MWC) 2015」(2015年3月2〜5日)では、「2015 International CES」と同様、“コネクテッド”がキーワードになりそうだ。MWCは、名前にこそ「モバイル」という言葉が入っているが、もはやスマートフォンやモデム向けの技術だけでなく、さまざまな分野向けの接続機器やネットワーク技術について議論を交わすための場となっている。
5Gの要素技術開発に向けた検証/測定環境をトータルでサポート
キーサイト・テクノロジーは、「マイクロウェーブ展2014」で、世界最高レベルの性能を持つ測定器群を展示するとともに、第5世代移動通信(5G)システムの要素技術開発に向けた測定機器の提案を行った。
5Gに向けた取り組み、欧州ではまだ足並みがそろわず
欧州委員会(EC)は「MWC 2015」で、欧州における5G(第5世代移動通信)の現状について説明した。欧米の通信事業者は2020〜2025年に5Gの実用化を目指しているが、現時点では、まだ欧州連合(EU)諸国の足並みがそろっておらず、無線通信市場が“細分化”している状態だという。
ドコモ、5Gに向け4.5Gビット/秒の高速データ通信に成功
NTTドコモは2015年3月2日、第5世代移動通信方式(5G)の実用化に向けた技術開発の一環として、15GHz帯の高周波数帯を用いて受信時4.5Gビット/秒以上のデータ通信に屋外で成功したと発表した。
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