Wainwright氏によると、NXPとFreescaleは合併が完了するまで、両社の事業部門の財務状況を共有することや、両社の顧客企業を互いに訪問することなどが法律で禁じられているという。
同氏は、「しかし、同じ顧客企業を数多く共有することができるというメリットは大きい。しかも、両社の事業内容はほとんど重複していない」と述べる。
買収では一般的に、圧倒的に優位な立場にある1社の企業が、規模の小さい方の企業を統合するという場合が多い。だがNXPとFreescaleの場合は「会社の規模は、ほぼ同じだ。どちらも売上高が50億米ドル規模である」(Wainwright氏)という。同氏は「さらに重要なのは、両社とも財務状況が健全だという点だ。M&Aでは、こういったケースは少ない」と続けた。
合併後は、「Freescale Semiconductor」の名は消える。ただし製品の品番などは維持される予定だ。
Wainwright氏は、合併後の新企業に大きなチャンスをもたらす分野として、自動車市場とモノのインターネット(IoT)市場を挙げている。今回のDesigning with Freescaleでは、80種類以上のデモが披露された。同氏はその会場で、「IoTの躍進の妨げとなる可能性があるのは、セキュリティだ」と警告している。
同氏は、「データによると、米国内ではコネクテッドデバイス全体の70%が、パスワードで保護されていない状態で接続されているという。Freescaleは、IoT関連の新興企業にセキュリティ関連のサポートを提供すべく、準備を整えている。暗号化によるセキュリティプロトコルを備えた信頼性の高いアーキテクチャを、エンドノードやゲートウェイ、クラウドに向けて提供していく」と述べている。
Freescaleは、米国内の2カ所とルーマニア、中国において、Freescale Security Labsを運営している。その目的は、セキュリティ標準をけん引するとともに、顧客企業のセキュリティ関連の問題を解決することだという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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