NECは、公共LTE専用網(PS-LTE:Public Safety LTE)で、基地局の圏外からでも映像送信を可能とする端末間通信技術を開発した。この技術を用いると、大規模災害地などにおいて圏外エリアにある約9割の端末機器で、映像送信可能な通信品質を確保することができるという。
NECは2016年5月、公共LTE専用網(PS-LTE:Public Safety LTE)で、基地局の圏外からでも、映像送信を可能とする端末間通信技術を開発したと発表した。この技術を用いると、大規模災害地などにおいて圏外エリアにある端末機器の約9割で、映像送信可能な通信品質を確保できるという。
NECが新たに開発した技術は、警察や消防などパブリックセーフティ領域で利用されるPS-LTEにおいて、基地局圏外にある携帯端末が、基地局まで最も高速に通信できる可能性の高い、別の端末機器を圏内から探し出し、その端末機器を介してネットワークに接続する技術である。適切な中継端末を選択し、適切な通信経路で音声通信や映像送信を実現する。
LTEは、圏外の端末機器、中継局となる別の端末機器、基地局までのそれぞれの区間によって利用可能な無線リソースや変調・符号化方式が異なる。このため、最も品質の高い映像を送信することができる通信経路(中継リンク)を見つけ出すことがこれまでは難しかった。
そこでNECは、「中継リンクスループット推定方式」を新たに開発した。各区間の無線品質から、それぞれの通信スループットを推定し、そのあとで統合する仕組みである。この方式により、現場の端末機器から、中継する端末機器を介して基地局に到達するまでの通信速度をトータルで推定することが容易に可能となった。この情報を基に、最適な通信ルートを決めるという。
NECは、大規模商業施設での災害救助活動を想定したシミュレーションを実施した。この結果、圏外になりやすい屋内にある端末機器の中で、高品質な映像送信が可能となる端末機器の割合は、今回開発した技術を適用すると、87%に達することを確認した。これに対して従来技術だと、送信できるのは全送信端末機器の45%に留まることが分かった。
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