20年論争決着、磁性半導体の強磁性示す仕組み解明:新たなスピントロニクス素子の開発を加速か(2/2 ページ)
今回の実験結果から、p-dツェナーモデルではホールキャリアの存在を示すフェルミ準位の位置が、As結合軌道内にあることを明らかにした。逆に、As結合軌道が不純物帯の下に位置する不純物モデルでは、それを説明できないことも分かったという。
(Ga,Mn)Asの強磁性モデル 出典:東北大学
研究グループは、(Ga,Mn)Asの強磁性の仕組みを実験的に解明できたことで、高機能化した磁性半導体材料の設計や、新たなスピントロニクス素子の開発を加速させるとみている。
- 室温で生体の磁場を検出、高感度磁気センサー
東北大学発ベンチャーのラディックスは、「第26回 ファインテック ジャパン」のアルバックブースで、TMR(トンネル磁気抵抗)素子を用いた高感度磁気センサーのデモ展示を行った。室温で生体磁場検出などが可能となる。
- 電子スピンを長距離輸送する技術を開発
NTTと東北大学は2016年3月、半導体中の電子スピンの向きをより安定に操作できる技術を開発した。両者は、「量子コンピュータや電界効果型スピントランジスタなどの電子スピンを用いた演算素子の実現に大きく貢献すると考えられる」としている。
- 新ナノ合金を使った圧縮機が次世代省エネ実現へ
パナソニックの生産技術本部は、東北大学が研究開発を進める新ナノ結晶合金「NANOMET」を用いたモーターを搭載した圧縮機の試作に成功したと発表した。電磁鋼板を使用したモーターと比較して3.1%の効率向上を実証。これにより、圧縮機の高い省エネ性能を実現できるという。
- グラフェンの超伝導化に成功、東北大学など
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授らによる研究グループは、グラフェン(黒鉛の単原子層)の超伝導化に成功した。「質量ゼロ」の電子を「抵抗ゼロ」で流すことが可能となるため、超高速超伝導ナノデバイスなどへの応用開発に弾みが付くものとみられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.