このリポートでは、われわれDell'Oro Groupが行った市場調査結果のサマリーを紹介する。主に扱うのは、スモールセル、Wi-Fi接続サービス、100GbE、光ネットワークである。これらのうち、Wi-Fi接続サービスとWDM光ネットワークの各市場において、特に注目すべき成長がみられた。
携帯電話の小型基地局(スモールセル)の市場は、スマートフォン市場の成長に伴い、2012年から2016年にかけて33%の年間成長率で拡大する見込みだ。われわれDell'Oro Group(米国の市場調査会社)は、今四半期に扱う4つのテーマのうちの1つとしてスマートフォンを取り上げているが、スモールセルは、このスマートフォンからの膨大なデータを扱わなければならない。スモールセルの設置数は2012年末には11億だったが、2016年末には27億に増える見込みだ。スモールセルの市場には、フェムトセル、ピコセル、マイクロセルに加え、Wi-Fiやそれに付随するバックホールシステムなど、さまざまなものが含まれる。
スモールセルでは、通信用電波の電力を低く抑えられる。そのため、干渉を生じさせることなく、より多くのユニットを近くに設置することができる。またスモールセルは、マクロセルでは死角になってしまうような場所でも機能する。加えて、ユーザーにより近い場所に設置可能なので、伝送速度のピーク値を達成できる可能性が高い。さらに、マクロセルの設置には12〜18カ月を要するのに対し、スモールセルであれば、1時間以内に設置を終えることが可能とされている。
サービスプロバイダによるWi-Fi接続サービスの市場では、2012年第3四半期の売上高が、前年同期比で96%増となる8700万米ドルに達した。われわれの調査によると、この市場は無線LANのインフラ装置に関連する市場の中では最も早く成長している。サービスプロバイダは、Wi-Fiを利用することで、携帯電話ネットワークにかかる負荷の軽減を図ることができる。また、無線通信の範囲を拡大することができ、それが顧客の心をつかむことにもつながる。
この市場では、エンタープライズレベルの屋内装置と、室外のメッシュノードという2種類の装置が使われる。大部分は前者なのだが、後者の室外装置は販売価格がより高く、2012年第3四半期の売上高の半分近くは室外装置からのものである。
100Gビットイーサネット(100GbE)についてみると、2012年第1四半期から第3四半期までの期間で、ポート数換算での出荷数は前年同期の3倍になった。これは、サービスプロバイダがイーサネット技術を導入し続けてきた結果だ。われわれの予想では、100GbEのポート換算出荷数は、2012年の売上高が5億米ドルに達するほど好調な推移を見せるはずである。2013年には出荷数がさらに倍増する見込みだ。こうした動きを促進しているのは、ネットワークにおけるトラフィック量が引き続き増加していることと、100Gビット対応のルーターが導入されたことである。
光ネットワーク市場では、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重方式)市場の売上高が2012年には80億米ドルに増加する見込みだ。2000年に77億米ドルに達していたことから考えるとわずかな成長にみえるが、この市場が底を打った2003年には18億米ドルだったので、それに比べれば大きく回復したことが分かる。現在では光ファイバ通信の伝送速度が向上しており、2000年当時と同じコストで8倍の帯域幅を利用できることになる。こうした点が、WDM市場の回復に寄与した。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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