調査会社のIDCによると、2012年第4四半期のPC出荷台数は、前年同期比で6.4%減となる8980万台に落ち込んだ。そうした中、LenovoとASUSTeK Computerのアジア勢は出荷台数を堅調に伸ばしている。
2012年第4四半期のPC市場は世界的に低迷した。米国の調査会社IDCによると、同四半期のPC出荷台数は、2011年第4四半期に比べて6.4%減となる8980万台に落ち込んだ。冬季休暇シーズンに出荷が減少したのは5年以上なかったことだという。市場専門家はその低迷の要因として、スマートフォンやタブレット端末への移行が進んだことや、経済全般の低迷、米Microsoftの「Windows 8」を搭載するPCに対する市場の反応が乏しかったことなどを挙げている。
米国のPC最大手であるHPとDellは、PC出荷台数のランキングでそれぞれ第1位と第3位を確保した。HPの2012年の市場シェアは16.5%だが、出荷台数を見ると2012年第4四半期は前年同期比で0.6%減、2012年通年では前年比で6.7%減となっている。Dellは、2012年の出荷台数が前年比12.6%減で、市場シェアが11%となっている。
一方、中国Lenovoや台湾ASUSTeK Computer(以下、ASUS)は2012年第4四半期/通年ともに成長を示している。2012年第4四半期の出荷台数が第2位のLenovoは首位との差を縮め、ASUSは第5位につけた。Lenovoの2012年の出荷台数は前年比で19.2%増加し、14.9%のシェアを獲得した。ASUSは年間出荷台数を17%増やし、市場シェアを6.8%に拡大している。
IDCのシニアアナリストであるJay Chou氏は、「PCベンダーは、タッチ操作に対応したPCの開発に尽力する一方、より安全で信頼性が高く、優れたユーザー体験をもたらす機能の開発にはあまり力を注いでこなかった。このことが低迷の一因となっている。だが、Windows 8が普及し始め、UltrabookなどWindows 8対応機器の価格も下がり続けているので、うまくいけば2013年にはPCの商品価値と需要が回復するかもしれない」と述べている。
IDCによると、米国のPC市場は2012年第4四半期に前年同期比で4.5%減、2012年通年では前年比で7%縮小したという。IDCでリサーチディレクタを務めるDavid Daoud氏は、「消費者の大半は、『従来型のPCは、タッチ操作やタブレットとしての利用に最適化されたWindows 8を搭載することを特徴としている。しかし、アプリケーションやハードウェアはそうした機能を十分に活用できるレベルには至っていない』と考えている」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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