ARMのサーバー向けSoC(System on Chip)は、まず、大規模データセンターのLinuxシステムが対応する見通しだ。しかし、ビジネスコンピューティング市場に参入するには、Microsoftの「Windows Server」のARM対応が不可欠だ。
これについては、実現が可能だろう。ARMはその実現に向け、間接的なアプローチを取っている。ARMベースのSoC向けLinuxのソフトウェアエコシステムの構築が、2013年から始まるのだ。Microsoftもこの動向に注目しているという。
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中国、欧州、米国は、エクサスケールレベルの性能を有するコンピュータの実現に向けて、スーパーコンピュータイニシアチブを立ち上げている。スーパーコンピュータは数十億台の処理ノードを使用する場合もあるため、消費電力は重要課題の1つだ。そのため、ARMが参入するチャンスも大きい。
ARMには、NVIDIAという強力なパートナーがいる。NVIDIAは、開発環境「CUDA」の他、汎用グラフィックスプロセッサ(GPGPU)でも幅広い支持を集めている。GPGPUは、処理効率に優れたコプロセッサとして、現在のペタスケールシステムに採用されている。NVIDIAは、モバイルシステムからスーパーコンピュータまで幅広い製品ライン向けに、ARM対応版のCUDAを開発中である。
ARM対応版CUDAが成功するには、高性能コンピューティング分野での積極的な支援が必要だ。エクサスケールイニシアチブは、ARM対応CUDAを投入する絶好の場となる。その一方でARMは、NVIDIAだけに依存すべきではないと考えており、オープンソースのOpenCL環境をベースとしたHSAについては、AMD(Advanced Micro Devices)と協力している。
なお、OpenCLは、CPUにGPUやDSPなどのヘテロジニアス(異種混在)な計算リソースを利用する並列コンピューティングに向けてC言語を拡張した、プログラミングフレームワークである。ARMにとって重要なのは、積極的な姿勢を崩さず、ただしこだわりは捨てる、ということになるだろう。
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【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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