2012年にPCが最も出荷された国は、中国だった。これまでは毎年米国がトップだったが、中国が追い抜いたという。さらに、中国には農村部という巨大な潜在市場がある。市場調査会社は、今後しばらくは、中国が世界最大のPC市場であり続けるとみている。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、2012年、中国はこれまで毎年首位にあった米国を初めて追い抜き、世界最大のPC市場になったという。
PC市場に関するIHS iSuppliのリポートによると、2012年における中国へのPC出荷台数は約6900万台で、米国の6600万台を300万台以上、上回った。
中国は人口が多く、市場規模が巨大であることは言うまでもないが、PC市場については他のどの国にもみられない特徴がある。農村部に広大な潜在市場があることと、PC購入パターンがユニークだということだ。2012年に世界で出荷されたPCは、デスクトップPCよりもノートPCの方が多かった。だが、中国ではデスクトップPCとノートPCの出荷比率は半々だったという。
IHS iSuppliのコンピュータプラットフォーム部門でシニアアナリストを務めるPeter Lin氏は、報道発表資料の中で、「中国でデスクトップPCとノートPCの出荷数が同等だったことは、世界的にみてもまれだ。現在はほとんどの地域の消費者が、大きくて固定されたデスクトップPCよりも、携帯性に優れたモバイルPCを好む」と述べている。
Lin氏は、中国でデスクトップPCの出荷が比較的多いのは、同国の農村部に大きな需要があるため、と述べた。中国の人口13億4000万人のうち、大多数は農村部に住んでいる。また、Lin氏は、「農村部の消費者はデスクトップPCを好む傾向がある」と付け加えた。
ただし、ノートPCの機能が高まるにつれて、中国のPC市場は徐々に変化していくという。2014年までに、中国でもノートPCの出荷がデスクトップPCを上回るとIHS iSuppliはみている。現在、世界におけるデスクトップPCとノートPCの出荷比率は36%対64%だが、中国でもこれに近い比率になると予測されている。
中国のPC市場のトレンドが他国とは異なるもう一つの例が、民生用PCと業務用PCの出荷比率だ。中国では、2012年の民生用PCと業務用PCの出荷比率が50:50だった。一方、その他の国では、同比率は65:35だった。
ノートPCで14インチの画面サイズが好まれる点も中国市場の特徴だ。14インチの製品は、ノートPCの出荷全体のうち70%を占めるという。他の国では30%以下にとどまる。
さらに、中国では、OSがあらかじめインストールされているPCの出荷台数が全体の50%以下だという。中国以外では、OSがインストールされているPCの出荷数は90%以上となっている。
このように、他の国とは異なる傾向を持つ中国のPC市場だが、共通点もある。消費者がPCよりもスマートフォンやタブレット端末を使うようになっているという点だ。2013年における中国のPC市場の成長は、わずか3〜4%にとどまる見込みだという。
ただしIHS iSuppliによれば、中国の農村部における潜在需要は非常に大きいとみている。中国政府は今後10年間で40兆元(約627兆円)を投入して、農村部のインフラを整える予定だ。PCメーカーにとってはチャンスになるかもしれない。
いずれにしても、中国は今後も世界最大のPC市場であり続けることは明確だとIHS iSuppliはみている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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