PC市場ではx86アーキテクチャが強く、携帯電話機市場ではARMが強いといった傾向があるプロセッサの世界だが、急速に発展しているモノのインターネット(IoT)市場では、x86、ARMコア、MIPSコアなどがほぼ互角の状況にあるという。
米国の市場調査会社であるIDC(International Data Corporation)は、「現在急激な成長を遂げているモノのインターネット(IoT:Internet of Things)市場では、IntelやARMをはじめとするメーカー各社の勢力は、ほぼ互角の状況にある」との見解を示した。IDCの予測によると、IoT関連製品の出荷台数は、2020年には250億台を上回り、4兆米ドル規模の市場に成長する見込みだという。また2017年までには、IoT関連製品の出荷台数は110億台に達し、搭載されるプロセッサコア数も200億個に達するとみられることから、IDCは、IoT市場関連の教育を提供するための業界団体を発足させたい考えだという。
IDCでシニアアナリストを務めるMario Morales氏は、2013年5月30〜31日の日程で米国カリフォルニア州メンロパークで開催された会議「SMART Technology World」において、「IoT市場は、さらなる成長の可能性を秘めている。今回の当社の予測では、控えめな数字を出したが、それでも膨大な市場規模に拡大する見込みだ」と語った。
Morales氏は、「OSを搭載し、ネイティブアプリケーションやクラウドアプリケーションを実行することが可能な、セキュアな組み込みシステム」のことを、「インテリジェントシステム」と定義する。Intelも、この「インテリジェントシステム」という用語を採用しているが、Intelの場合は、他社がIoTやM2M(Machine to Machine)通信と定義している分野のことを、インテリジェントシステムとしているようだ。
Morales氏は、「今後6カ月以内に、インテリジェントシステムに関するエコシステムの業界団体を設立し、Webサイトを立ち上げたいと考えている。この団体を拠点として、基礎研究を進める予定だ」と述べている。
同氏は、「インテリジェントシステムにおけるプロセッサアーキテクチャのシェアは、ARMコアが全体の約1/3を、Intelのチップが全体の約1/10をそれぞれ占めている。民生機器市場ではMIPSコアが、インフラシステム市場ではPower Architectureコアが、高いシェアを獲得している」と付け加えた。
Morales氏は、「このように“プレーヤ”が多いということは、今後市場がどのように発展しても、対応できるメーカーがいるということだ」と述べている。
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