ルネサス エレクトロニクスは、清算予定だったルネサス モバイルの海外子会社2社とLTEモデム技術資産をブロードコムに譲渡すると発表した。譲渡額は約164億円。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサスエレ)と完全子会社のルネサス モバイルは2013年9月4日、ルネサス モバイルの欧州法人とインド法人の全株式とLTEモデム技術に関わる一部資産を、ブロードコムへ譲渡すると発表した。譲渡総額は約1億6400万米ドル(約164億円)。譲渡完了日は2013年10月1日を予定している。
携帯電話機用システムLSIを中心に展開するルネサス モバイルは2013年6月27日、業績不振を理由に2013年いっぱいで同LSI事業から撤退し、ルネサス モバイルの実質的な本拠地である欧州法人をはじめ、インド法人、中国法人の海外3子会社を清算すると発表していた(関連記事:ルネサス モバイル事業を清算、買い手見つからず)。
ただ、「事業停止に向けた手続きを進めていたが、今般、ブロードコムから(携帯電話機用システムLSIの中枢技術である)LTEモデム技術を取得したいとの申し入れがあり、譲渡を実行することが全てのステイクホルダーに望ましいことと判断に至った」(ルネサスエレ)とし、既に事業を停止している中国法人を除く欧州法人とインド法人の2拠点(従業員数約1270人)とLTEモデム技術資産の譲渡が決定した。
ルネサス モバイルは、車載情報機器向けSoC事業なども手掛けているが、今回の事業譲渡には含まれていない。同事業のルネサスエレとの統合なども含め「事業形態は今後検討していく」(ルネサスエレ)とする。なお、今回の譲渡が、ルネサスエレの業績に与える影響は「精査中」(ルネサスエレ)としている。
ルネサス モバイルは、ルネサスエレが2010年11月にNokiaのモデム技術開発部門を約2億ドル(当時の為替レートで約180億円)で買収したことを契機に2011年1月に発足。発足以来、業績低迷が続き、累積営業赤字は450億円(2013年3月時点)までに膨れあがっていた。
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