InvenSenseは、Analog DevicesのMEMSマイクロフォン事業部門を1億米ドルの現金で買収すると発表した。InvenSenseは今回の買収により、MEMSマイクロフォンビジネスの早期立ち上げを狙う。
InvenSenseは、Analog Devices(以下、ADI)のMEMSマイクロフォン事業部門を1億米ドルの現金で買収すると発表した。この買収により、30〜40人の従業員がADIからInvenSenseへ移籍するが、マサチューセッツ州にある拠点にはとどまる見込みだ。スロバキアのブラチスラバと中国の上海で行われているMEMSマイクロフォンのサポート業務もそのまま維持される。
InvenSenseは、オンチップのモーション・プロセッシング・アルゴリズムを備えた慣性センサーで知られる。
InvenSenseのマーケティングおよび事業開発部門でバイスプレジデントを務めるAli Foughi氏は、EE Timesとのインタビューの中で、「当社はオーディオ・マイクロフォンを開発中だが、今回ADIのMEMSマイクロフォン事業部門を買収することで、開発ロードマップを加速させる。現在、当社の主要なターゲット市場は携帯電話機とタブレット端末だが、MEMSマイクロフォンにはこれら以外にも市場がある。今回の買収により、InvenSenseは、ヘルスケア(補聴器などを含む)と自動車という2つの大規模な市場に新たに参入することになる」と述べた。
InvenSenseのこれまでの成功は、MEMSと、MEMSを制御するASIC(application specific integrated circuit)、さらにセンサーフュージョンを実行するオンチップ・アルゴリズムを含んだ完全なシステム・オン・チップ(SoC)の提供に注力したことに端を発する。InvenSenseのSoCは、OEM向けの完全にエンド・ツー・エンドのソリューションを実現する。Foughi氏によると、この戦略のカギは、モーション・トラッキングの域を越えてセンサー製品の幅を広げたことだという。
Foughi氏は、「オーディオは、未来のデバイスと相互に作用する手段として、モーションを補完する要素に急速になりつつあり、当社のSoC市場での長期的な成長の鍵となっている。より人間のような交流を実現する新たなデバイスにとって、オーディオは急速に重要な要素になりつつある」と述べた。
Foughi氏は、アナリストらが2020年にはモノのインターネット(IoT: Internet of Things)関連の接続デバイスの数は200億台に達すると予想していることから、「潜在的な市場は巨大である」と述べた。同氏は、「全てのデバイスと人間のような交流を実現するには、他のタイプのセンサーでモーション・トラッキングを補うことが最良の方法である」と強く主張した。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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