サンディスクは、読み取り転送速度が最大160Mバイト/秒と高速で、記憶容量が256Gバイトのコンパクトフラッシュ(CF)カードを開発した。2013年12月より出荷を始める。フルHD(1920×1080画素)や4k(4096×2160画素)動画など、映像の高品質化が進む中で、メディアに要求される高いデータレートと大容量化に対応した。新製品の発売に合わせ、それ以外のCFカードについても転送速度の高速化を図った。
サンディスクは2013年11月8日、読み取り転送速度が最大160Mバイト/秒と高速で、記憶容量が256Gバイトのコンパクトフラッシュ(CF)カードを開発したと発表した。2013年12月より出荷を始める。フルHD(1920×1080画素)や4k(4096×2160画素)動画など、映像の高画質化が進む中で、メディアに要求される高い転送速度と大容量化に対応した。さらに同社では、新製品の発売に合わせ、それ以外のCFカードについても転送速度の高速化を図った。
これまで「エクストリームプロ」CFカードは、記憶容量が最大128Gバイトで、転送速度は最大100Mバイト/秒であった。新製品の256Gバイト品は、同シリーズの高速・大容量モデルとして新たに用意した。読み取り転送速度は最大160Mバイト/秒、書き込み転送速度は最大140Mバイト/秒を実現し、デジタルカメラにおけるRAW+JPEG撮影時でも高速連写を可能とする。また、最低維持書き込み速度であるVPG(Video Performance Guarantee)は65Mバイト/秒(VPG-65対応)で、4kやフルHDの動画撮影にも適しているという。
256Gバイト品の発売に合わせ、現行のCFカードも転送速度の向上を図った。エクストリームプロCFカードの128G/64G/32G/16Gバイト品の全てが、読み取り転送速度は最大160Mバイト/秒、書き込み転送速度は最大150Mバイト/秒で、VPG-65対応となる。「エクストリーム」CFカードは、読み取り転送速度が最大120Mバイト/秒、書き込み転送速度は最大60Mバイト/秒で、VPG-20対応となる。「ウルトラ」CFカードは読み取り転送速度が最大50Mバイト/秒となる。
サンディスク日本法人の社長で、米SanDiskのシニアバイスプレジデントを務める小池淳義氏は、記録されるデータの総量の推移に触れた。「2010年のデータ総量は1.2ゼタバイト(ゼタはギガの1兆倍)で、このうちNANDフラッシュメモリに記録されているデータは0.011ゼタバイトである。10年後の2020年にはデータ総量が40ゼタバイトに増えると予想されている。この時にNANDフラッシュメモリに記録されているデータは1.183ゼタバイトと推定されている。この数値は、ほぼ2010年のデータ総量に匹敵する。つまり、NANDフラッシュメモリは10年間で100倍の容量が必要となる」と語る。
NANDフラッシュメモリの消費拡大をけん引するのが、スマートフォンやタブレット端末である。さらにフラッシュSSD(Solid State Drive)などが、PCやエンタープライズ向けに期待されている。このため、「NANDフラッシュメモリ市場は、2012年の約2兆6000億円(1米ドル=100円換算)から、2016年には約3兆8000億円に拡大する」とみている。
サンディスクは、三重県四日市にある東芝との合弁会社でNANDフラッシュメモリのチップを量産している。小池氏は、「サンディスクはこの7年間で合弁の製造会社に7000億円の投資を行い、微細化や増産などへの対応を図ってきた」と話す。さらに今後の製品開発については、「現行のNANDフラッシュメモリはフローティングゲート技術を用い、微細化などによって記憶容量や転送速度を高めつつ、コストダウンを実現してきた。微細化については今後も取り組むが、電気的な限界も危惧されている。そこで、フローティングゲート技術をベースとした微細化の推進に加えて、立体構造のチップ技術や抵抗変化メモリ(ReRAM)技術などの開発も並行して取り組んでいる」と述べた。
会見では、放送映像や映画撮影などに適した新フォーマット「CFast 2.0」対応のカードも紹介した。このカードは、記憶容量が120Gバイト品と60Gバイト品の2種類があり、読み取り転送速度は最大450Mバイト/秒、書き込み転送速度は最大350Mバイト/秒(60Gバイト品は225Mバイト/秒)となっている。4kやフルHD動画の撮影などの用途に向ける。ただ、現時点では、ARRI製のCFast2.0対応カメラにバンドルして供給され、カード単体でのリテール販売は未定である。
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