ニコンは、20nm以下のプロセス技術を用いたICチップの量産ライン向けArF液浸スキャナ「NSR-S622D」を、実物大パネルで展示した。毎時200枚以上の高いスループットを維持しながら、装置間重ね合わせ精度(MMO:Mix and Match Overlay)は3.5nm以下を実現している。
ニコンは、「SEMICON Japan 2013」(2013年12月4〜6日)で、20nm以下のプロセス技術を用いたICチップの量産ライン向けArF液浸スキャナ「NSR-S622D」を、実物大パネルで展示した。毎時200枚以上の高いスループットを維持しながら、装置間重ね合わせ精度(MMO:Mix and Match Overlay)は3.5nm以下を実現している。
NSR-S622Dは、投影レンズの性能とオートフォーカス機能を改良したことにより、MMOは3.5nm以下と極めて高い精度を実現している。この性能によりマルチプルパターニングプロセスへの対応を可能とした。装置単体のSMO(Single Machine Overlay)では2nm以下となる。開口数(NA)は1.35である。
NSR-S622Dは、現行のNSR-S621Dで採用している「ストリームラインプラットフォーム」の精度をさらに向上させた。その1つが「バーズアイコントロール」と呼ぶ干渉計システムである。ウエハーステージのキャリブレーションに、エンコーダと干渉計を組み合わせたハイブリッド計測システムを採用した。これによって、空気揺らぎの影響を受けずにステージの位置を高精度に計測することが可能となった。「従来は干渉計でウエハー側面から計測していたが、NSR-S622Dではそれに加えて、エンコーダでウエハー上部からも計測する」(説明員)ことで、重ね合わせ精度のさらなる向上を実現する。
また、「ストリームアライメント」と呼ぶ、スループットを向上させる計測技術を採用した。FIA(Field Image Alignment)を、従来の1眼から5眼に増やすことでアライメントの時間短縮を可能とした。「X軸、Y軸に加えて、Z軸方向からも計測している」(説明員)という。さらにNSR-S622Dは、新たなモジュール構造「モジュールスクエアードストラクチャ」を採用した。装置構成を階層的なモジュール構造にしたことで、高い精度を維持しつつ、製造現場におけるメンテナンス性を向上させることができるという。
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