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ディスプレイ上に透明なボタンを浮き沈みさせる技術を公開ディスプレイ技術(2/2 ページ)

» 2014年03月17日 13時05分 公開
[竹本達哉,EE Times Japan]
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「バッテリーに影響しない」

 ボタンの高さは、油圧を調整することで0.5mmから2.5mm程度の範囲で制御でき、ボタンのサイズは最小1mm2から形成できるという。また、タッチパネルの感度を調節することで、ボタンを押下した時に入力を検知するモードの他、ボタンの表面に触れただけで検知するモードなどを選択できるとする。

 油圧ポンプは、「携帯電話機に使用される振動用モータと同程度の小型モータで十分駆動できる。油圧ポンプを動作させる時以外の電力消費は一切なく、電流容量は0.03mAhであり、ほとんどバッテリーに影響しない」(Tactus Technology CEOのCraig Ciesla氏)とする。

 さらに「(代表的なカバーガラスである)『ゴリラガラス』(コーニング製)とほぼ同じ厚み(0.7mm)、透過率(93%)だ。強度も、表面が柔らかなエラステックポリマーであり、キズが付きにくく、ゴリラガラスと変わりないレベル。価格もゴリラガラスと遜色ないだろう」という。

 Tactusでは、スマートフォン、タブレット端末向けに4〜10インチディスプレイに対応したパネルを製品化し、ディスプレイパネルメーカーへの提案を実施している段階で、既にiPad mini向けケースなどでの採用が決定しているという。なお、iPad mini向けケースは2014年9月にも発売される予定で、市販価格は「100米ドルと聞いている」とする。

2014年9月にも市販されるというiPad mini向けケース。ボタンの形成は、手動で行う。向かって左側にスライド式のスイッチがあり、それをスライドさせることでボタンが上がったり、下がったりする。また、このボタンは、正式にはボタンではなく、キーパッドのキーとキーの境の役割を果たすもの。「キーとキーの間に凹凸があることで、キー自体を浮かび上がらせるよりもタイピングしやすい人が多いと聞いている」(Tactus Technology)。

 Tactusは今後、大型タブレット端末やノートPCなど向けの11〜20インチディスプレイ対応品の開発を進める他、品質/信頼性テストを重ねて、車載機器や産業機器用途向けへの提案も行っていく方針。

Tactus Technologyの開発ロードマップ
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