TDKは、「CEATEC JAPAN 2014(CEATEC 2014)」において、ウェアラブル機器向けのワイヤレス給電システムやスピントランスファートルク(STT)型MRAMなどを参考展示した。
TDKは、「CEATEC JAPAN 2014(CEATEC 2014)」において、出力が0.5W以下のウェアラブル機器向けのワイヤレス給電システムや、フラッシュメモリに比べて読み書き速度が速いスピントランスファートルク(STT)型MRAMなどを参考展示した。
同社のワイヤレス給電は、電磁界の共鳴現象を利用し非接触で電力を伝送する技術である。独自の磁性材料技術や誘電体技術により、小型で効率の良いワイヤレス給電技術を開発し、PHEVやEVの充電システムや、産業機器向けの給電システムなどを提案してきた。
ワイヤレス給電システムとして新たに同社が注力するのがモバイル製品向けである。すでに、出力が5Wのスマートフォン向けワイヤレス給電用モジュールを量産している。新たに開発中のウェアラブル機器向けワイヤレス給電用モジュールは、出力が0.5W以下をターゲットとしている。送電ユニットにはリチウムイオン2次電池を内蔵しているため、AC電源のない屋外などでもワイヤレス給電が可能になるという。「サンプル出荷は2015年春以降になる」(説明員)予定だ。
磁気ヘッドで培ってきたスピントロニクス技術をベースとした「STT-MRAM」や「熱アシスト記録用ヘッド」の開発成果も参考展示した。STT-MRAMは、電源を切ってもデータを保持する不揮発性メモリである。「読み書きの動作速度は1〜100nsで、NOR型フラッシュメモリに比べて約10倍も高速だ。書き換え耐性は無限大」(説明員)という。ブースには、8インチウエハーを使い90nmプロセスで製造した8Mビットの試作チップを展示した。STT-MRAMは微細化に適しており、DRAM並の記録密度が得られるため、大容量化への期待も高まる。組込みシステム向けフラッシュメモリの置き換えを狙ったSTT-MRAMは、2015年までに信頼性テストを終える予定である。
熱アシスト記録用ヘッドは、磁性スピントロニクスとフォトニクス技術を融合することで、これからのHDD高記録密度化に対応する技術である。近接場光技術により、数ナノメートル領域への光の絞り込みと加熱を実現した。15Tバイト以上の大容量HDDを実現可能とする技術、と同社ではみている。
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