先日、あるメーカーの方から、この連載について「EtherCATについて非常に分かりやすく解説してあり、助かっています」とのメールを頂きました。こういうメールを頂けると、元気が出てきます。
また、読者の方の環境でも、私が記載したSOEM(Simple Open EtherCAT Master)の構築方法やテスト方法が、ひと通り動いていることを知って(ヘナヘナと座り込んでしまうほど)安堵しました。
こんな連載をやっていれば、日本中の制御LANのエンジニアから、山ほどの問い合わせメールがやってくるかと思っていましたが、実際のところ、問い合わせはほとんどありません。
その理由を想像してみると、(1)EtherCATなんぞ知らん、(2)江端と関わり合いをもつのは面倒、(3)恥ずかしがり屋、の3択くらいかなぁ、と思っています((2)なら悲しい)。
しかし、実際のところ、私も質問されても、正しく答えられる自信はありません。一緒に「分かりませんねえ」とボヤくのが関の山ですが、それでも構わなければ、お気軽にメールして下さい。
さて、ここ2カ月ほど、ネット詐欺に遭うは、特許明細書の執筆やらが休日に入り来んでくるはで、『夏休みまでにEtherCATでモーターを動かす』という目標は、押しに押しておりました。
しかし、ようやく10月29日(本当に30分程前に)、EtherCATスレーブでステッピングモーターを回すことに成功しました!
嬉しくて、家の中をピョンピョン飛び回っていたのですが、この喜びを共感できる人間が、江端家にはいない。
『うん、パパが嬉しいなら、私も嬉しいよ』と、食器を洗う手を止めないで生返事を寄越したのは、
―― リトマス試験紙が、青になろうが赤になろうが、それが一体何だというの?
という名言を残した、私の最愛の妻です。
⇒本連載のバックナンバーはこちら
江端智一(えばた ともいち)
日本の大手総合電機メーカーの主任研究員。1991年に入社。「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、エンジン制御からネットワーク監視、無線ネットワーク、屋内GPS、鉄道システムまで幅広い分野の研究開発に携わる。
意外な視点から繰り出される特許発明には定評が高く、特許権に関して強いこだわりを持つ。特に熾烈(しれつ)を極めた海外特許庁との戦いにおいて、審査官を交代させるまで戦い抜いて特許査定を奪取した話は、今なお伝説として「本人」が語り継いでいる。共同研究のために赴任した米国での2年間の生活では、会話の1割の単語だけを拾って残りの9割を推測し、相手の言っている内容を理解しないで会話を強行するという希少な能力を獲得し、凱旋帰国。
私生活においては、辛辣(しんらつ)な切り口で語られるエッセイをWebサイト「こぼれネット」で発表し続け、カルト的なファンから圧倒的な支持を得ている。また週末には、LANを敷設するために自宅の庭に穴を掘り、侵入検知センサーを設置し、24時間体制のホームセキュリティシステムを構築することを趣味としている。このシステムは現在も拡張を続けており、その完成形態は「本人」も知らない。
本連載の内容は、個人の意見および見解であり、所属する組織を代表したものではありません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.