ロームは、自社で3世代目となるSiC(炭化ケイ素)ショットキーバリアダイオード(SBD)「SCS3シリーズ」の量産を始めた。耐圧は650Vで、業界最小レベルの順方向電圧性能を維持しつつ、高いサージ電流耐量を実現している。
ロームは2016年4月、自社で3世代目となるSiC(炭化ケイ素)ショットキーバリアダイオード(SBD)「SCS3シリーズ」の量産を始めた。耐圧は650Vで、業界最小レベルの順方向電圧(VF)性能を維持しつつ、高いサージ電流耐量を実現した。サーバー機器やハイエンドPC向け電源のPFC(力率改善)回路用途に向ける。
SCS3シリーズは、JBS(Junction Barrier Schottky)構造を採用した。製造プロセスと製品構造を改善することによって、サージ電流耐量は82A(TO-220ACP品)に向上した。2世代SiC-SBD製品の40Aに比べて大幅に向上している。
順方向電圧も高温条件下の特性を改善した。ジャンクション温度が25℃の場合、順方向電圧は1.35Vで、世代による特性の差はない。ところが150℃になると、第2世代製品の1.55Vに対し、第3世代製品では1.44Vを実現した。導通損失の低減により、高効率化が可能になるという。
順方向電圧を低減した場合、逆方向のリーク電流が増加するのが一般的である。SCS3シリーズは、JBS構造を採用したことで、リーク電流を抑えつつ順方向電圧を低減することに成功した。第2世代製品に比べて、定格電圧でリーク電流を約1/20に低減している。
SCS3シリーズはまず、T-220ACPのパッケージ製品を用意していく。第1弾は順方向電流が6A品、8A品、10A品を出荷する。2A品と4A品も開発中である。さらに、面実装タイプパッケージのTO-263AB製品も順次製品展開していく予定となっている。
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