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次世代電池特集

小型のモバイル機器から自動車まで、さまざまな電子機器に搭載されるバッテリー。機器を駆動する要の部分であるだけでなく、安全性にも関わるバッテリーの分野では現在、新たな原理や材料、構造を採用する「次世代電池」の研究開発が加速している。本特集では、バッテリー関連技術の最新情報をお届けする。

Top Story

−40〜200℃の動作温度範囲を実現:

日本電気硝子は、新たに開発した耐熱パッケージを採用し、動作温度範囲が−40〜200℃という「全固体ナトリウムイオン二次電池(NIB)」を開発、サンプル出荷を始めた。宇宙空間や半導体製造プロセス、医療など過酷な環境下で使用される機器に向ける。

(2024年8月26日)
EVの高性能化、低価格化が可能に:

横浜国立大学や名古屋工業大学、島根大学らの研究グループは、高いエネルギー密度で長寿命の電池正極材料となりうる「リチウムマンガン酸化物材料」の合成に成功した。急速充電にも対応できる材料で、電気自動車(EV)の高性能化、低価格化が可能となる。

(2024年9月3日)

新製品

独自技術で高寿命化:

日本ガイシは「TECHNO-FRONTIER 2024」にて、開発中の亜鉛二次電池「ZNB」を紹介した。エネルギー密度が高く、発火リスクがないことから、基地局などのインフラ設備のバックアップ電源として利用できるという。

(2024年7月30日)
再生可能エネルギー自給率を最大化:

村田製作所は、独自に開発した統合型再エネ制御ソリューション「efinnos(エフィノス)」の外販を始める。AI(人工知能)技術を活用し太陽光発電と蓄電池のシステムを適切に制御する。これにより、製造拠点などにおける再生可能エネルギー自給率の最大化が可能となる。

(2024年7月23日)
乾電池型IoTデバイスで:

ノバルスは、2024年7月に開催された「スタートアップワールドカップ2024」で乾電池型IoT(モノのインターネット)デバイス「MaBeee(マビー)」を紹介した。市販の乾電池と入れ替えるだけで、リモコンや熱中症計など電池駆動の小型機器を“見守り機器”に変えることができる。

(2024年7月25日)
トレックスら3社が開発:

イーアールアイと日本ガイシ、トレックス・セミコンダクターの3社は、それぞれが得意とする技術を組み合わせて、環境発電デモボード「EsBLE」を開発したと発表した。不安定なエネルギーで発電した電力でも、安定したセンシングや測定データの送信が行える。

(2024年5月30日)
「人とくるまのテクノロジー展2024」で展示:

TDKは「人とくるまのテクノロジー展2024」で、ワイヤレス充電規格であるMPP規格とEPP規格の両方に対応した薄型パターンコイルを展示する。1つの充電器でQi準拠の全てのスマートフォンを最大15Wで高速充電できるパターンコイルは「世界で初めて」(TDK)だという。自動車内の充電スポットなどへの利用を想定する。

(2024年5月22日)
独自技術で耐熱性を向上:

日本ガイシは「オートモーティブワールド2024」にて、「半固体電池」として展開するリチウムイオン二次電池やベリリウム銅合金などの車載向け技術を展示した。

(2024年2月2日)

研究開発

リチウムイオン電池を置き換える:

北海道大学と東北大学および、カリフォルニア大学ロサンゼルス校は、亜鉛イオン電池用の正極材料を開発した。これにより、水系亜鉛イオン電池でリチウムイオン電池と同等か、それ以上の高いエネルギー密度と出力密度を実現することが可能となる。

(2024年8月23日)
テトラポッド型正孔回収単分子膜材料:

京都大学の研究グループは、濡れ性の高いテトラポッド型正孔回収単分子膜材料「4PATTI-C3」を九州大学と共同で開発した。この単分子層を正孔回収層に用いることで、ペロブスカイト太陽電池の光電変換効率と耐久性を高めることができるという。

(2024年8月21日)
新型太陽電池の実現につながる?:

大阪大学は日本女子大学と共同で、有機半導体の励起子束縛エネルギーを低減させることに成功した。単成分で駆動する新型の有機太陽電池や有機光触媒を実現できるという。

(2024年8月16日)
機械学習法を適用し特徴量を抽出:

物質・材料研究機構(NIMS)は、機械学習手法を適用して、高エネルギー密度金属リチウム電池の寿命予測モデルをソフトバンクと共同開発した。充放電データから抽出した特徴量の組み合わせを最適化したところ、予測精度を示す決定係数が0.89と高いモデルを構築することに成功した。

(2024年8月6日)
固体ポリマー電解質材料:

東京農工大学の研究グループは、イオン伝導度と力学的強度を両立させた「リチウム二次電池用固体ポリマー電解質材料」を開発した。比較的高い架橋部位の密度を有する架橋高分子に高濃度の塩を溶解させる新たな材料設計により実現した。

(2024年8月2日)
発電層と透明電極に新材料を採用:

理化学研究所(理研)らによる国際共同研究グループは、高いエネルギー変換効率(PCE)を保ちながら、伸縮性を向上させた「有機太陽電池」を開発した。環境エネルギー電源として、ウェアラブルデバイスやe-テキスタイルなどの用途に向ける。

(2024年7月8日)
レーザー超微細加工技術を開発:

大阪産業大学と東海大学/京都大学、核融合科学研究所らの研究グループは、ナノ秒紫外レーザーを用い、シリコン太陽電池表面に先端の大きさが約20nmというナノドット構造を形成することに成功した。これにより、500nm付近における太陽光の反射率を約5%に低減。シリコン太陽電池の変換効率をさらに高めることが可能になるという。

(2024年7月19日)
革新的ナノ均一正極構造を採用:

山形大学は、大阪ソーダやエムテックスマートと連携し、「革新的ナノ均一構造正極による超高速充放電亜鉛二次電池」の開発を行う。資源リスクが低い亜鉛金属を用い、現行のリチウムイオン二次電池を超える電池容量の実現を目指す。

(2024年6月20日)
907F/gACの比静電容量を達成:

東北大学とAZUL Energyらによる研究グループは、鉄アザフタロシアニン(FeAzPc-4N)を活性炭にまぶし、分子レベルで吸着させたキャパシター用電極を開発した。この電極を用いれば、ナノ炭素を用いるスーパーキャパシター並みの容量を安価に実現できるという。

(2024年6月27日)

市場/設備投資

半導体やシステムの改善が不可欠:

AI(人工知能)の発展が進む上で、データセンターの電力消費量に対する懸念が増している。次世代パワー半導体の積極的な採用や、より効率の良いデータセンターアーキテクチャの採用をはじめ、早急な対策が必要になる。

(2024年7月4日)
2023年見込みに比べ約6倍に拡大:

矢野経済研究所は、主要9種類の次世代電池世界市場(メーカー出荷額ベース)を調査し、2035年までの市場規模予測を発表した。これによると、2023年見込みの1兆2333億円に対し、2035年は約6倍の7兆2763億円規模に達する見通しである。

(2024年5月23日)
カナダに製造合弁会社を設立へ:

本田技研工業(ホンダ)は、カナダにおける車載バッテリー用セパレーターの現地生産について、旭化成と協業をすることで基本合意した。2024年中にも合弁会社の設立を目指す。

(2024年5月1日)
「再利用」は分かりやすいアイデアだが:

EV(電気自動車)における大きな課題の一つはバッテリーだ。リチウムイオンバッテリーのリサイクル技術が確立されていない中、“中間ステップ”としてリユースも提案されている。だが、リユースは本当に効果的なのだろうか。

(2024年4月24日)
「NEDO Challenge」第2弾:

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2024年4月10日、懸賞金型の研究開発コンテストの第2弾の公募を開始した。テーマとなるのはリチウムイオン電池(LiB)。近年課題になっている、ごみ回収におけるLiBの発火や爆発などを防ぐ技術の開発を促進する。

(2024年4月17日)
EV用バッテリー工場の建設を再開:

Ford Motorは、中国のEV向け電池メーカーのCATLと協業し、米国ミシガン州に電池製造のためのギガファクトリーを建設中だ。ただ、米中ハイテク戦争が続く中、この協業は物議をかもしている。

(2023年12月4日)
2035年には3614GWhの予測も:

車載用リチウムイオン電池(LiB)の世界市場は、2025年に容量ベースで約1000GWhとなる。矢野経済研究所が予測した。

(2024年1月9日)
世界標準の技術開発を目指す:

トヨタ自動車と出光興産は2023年10月12日、全固体電池の量産化に必要な硫化物固体電解質の開発やサプライチェーン構築に向けて協業を発表した。全固体電池の実用化は、2027〜2028年を目指している。

(2023年10月19日)

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