IHS iSuppliが発表したMEMSファウンドリの売上高ランキングで、TSMCは第1位を獲得した。同社の2011年におけるMEMS売上高は、2010年の約3倍に達したという。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、TSMCは、2011年のMEMSファウンドリランキングにおいて世界第1位の座を獲得したという。
IHS iSuppliによれば、2011年におけるTSMCのMEMS売上高は、2010年の約3倍となる5300万米ドルに達し、第2位のSilex Microsystemsと第3位のTeledyne Dalsaに差を付けた。しかし、このIHS iSuppliのランキング結果は、フランスの市場調査会社であるYole Developpementの調査結果とは大きく異なっている。Yole Developpementが発表したMEMS専業ファウンドリランキングによると、TSMCは世界第5位で、2011年における売上高は2300万米ドルにとどまったという。
TSMCが今回、MEMS市場において成長を遂げた主な要因としては、同社のクライアント企業であるInvenSenseが成長したことが挙げられる。TSMCはInvenSenseに向けて、3軸ジャイロスコープ(角速度センサー)や6軸の慣性計測ユニットなどを製造している。これらのMEMSデバイスは、スマートフォンやタブレット端末に搭載される。かつて、InvenSenseに3軸ジャイロスコープを供給していたのは、エプソンだった。しかし、IHS iSuppliのアナリストであるJeremie Bouchaud氏によると、「エプソンは2011年3月に発生した東日本大震災によって被害を受けたために、TSMCにその座を奪われ、市場シェアも明け渡す形となった」という。また、TSMCは、Analog Devicesの製品の製造も請け負っている。Analog DevicesのMEMSマイクロフォンは、Appleの「iPad 2」に採用されていることから、TSMCはそのメリットも享受している。
STMicroelectronicsは、2011年におけるMEMSの売上高が約2億5000万米ドルだったことから、世界最大のMEMSファウンドリだとする見方もある。しかし、同社は自社ブランドのMEMSを手掛ける大手メーカーでもあるため、今回のランキングでは除外されている。
IHS iSuppliによると、MEMS専業ファウンドリ全体の合計の売上高は、2010年には2億3180万米ドルだったが、2011年はその23.4%増となる2億8600万米ドルに達したという。
第2位にランクインしたスウェーデンのSilex MicrosystemsのMEMS売上高は、2010年には3600万米ドルだったが、2011年には前年比27.5%増となる4590万米ドルとなった。IHS iSuppliはその主な成長要因として、光ファイバ通信向けのMEMS光スイッチが寄与したとみている。
Silex Microsystemsは、60社以上の幅広いクライアントを獲得しており、さまざまな用途に向けたMEMS製造契約を締結している。一例としては、科学分野の用途や、ピコプロジェクタ用のスキャニングミラー、臨床検査用ラボオンチップ(lab-on-chip)、民生機器向けジャイロスコープ、血圧監視装置向け圧力モニター、などが挙げられる。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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