TSMCが、20nmプロセスのCMOSチップの量産に向け、装置の導入を急いでいる。多くのアナリストが、この動きを「TSMCがApple向けに『A7』プロセッサを製造する」という予測に結び付けている。
Focus Taiwanが匿名筋の情報として伝えたところによると、TSMCは、20nmプロセスのCMOSチップの量産に向けた製造装置を、2013年4月20日から同社の製造施設「Fab 14」に導入し始めるという。当初の計画を2カ月前倒しすることになる。
これにより、TSMCは、2013年第2四半期末に20nmプロセスでの生産を開始、同年後半には本格的な量産体制を整えるとみられている。
通常は生産ラインの据え付けだけでも数カ月を要するので、TSMCのスケジュールはかなり厳しいように見える。
TSMCは2012年4月に行われたFab 14のフェーズ5の起工式で、同社にとって、Fab 14は20nmプロセスに対応した2番目の製造施設になると示唆しており、同プロセスを用いたCMOSチップの量産を2014年初めに開始する計画だと発表していた。なお、台湾の新竹市にある「Fab 12」のフェーズ6が、TSMC初の20nmプロセスを用いた製造施設になる予定で、こちらも2013年中に量産を開始する見込みだ。
TSMCがFab 14への装置導入を急いだ理由は、20nmプロセスを用いた生産能力を高めることと、2013年中にFab 14でも20nmプロセスでの量産を開始したいという考えがあったからだと思われる。多くの業界筋が、今回の動きを「TSMCがApple向けに『A7』プロセッサを製造する」という予測に結び付けている(やはりSamsungを切ったApple、「A7」プロセッサはTSMCがまもなく設計完了か)。
TSMCにとって、28nmプロセスのバルクCMOSから20nmプロセスに移行することは、Samsung ElectronicsやGLOBALFOUNDRIESといった競合相手に対する重要な優位点だと考えられている。だが一方で、業界筋の中には、「20nmプロセスは性能や消費電力の点で明白な恩恵をもたらすことはなく、多くの顧客は16nmや14nmのFinFETプロセスを待ちたいのではないか」との見方もある。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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