オン・セミコンダクターは、2011年に買収した三洋半導体との相乗効果を発揮させ、電源、LED駆動、モーター駆動の3分野での事業拡大を狙う。
オン・セミコンダクターは、電源、LED駆動、モーター駆動の3分野に対し、「エネルギー効率を高める」をキーワードにして製品群の拡充を進めている。2011年にグループ入りした三洋半導体の製品群と従来のオン・セミコンダクター製品群は「補完関係にあり、電源、LED、モーターのいずれの分野でも幅広い製品がそろっている」(オン・セミコンダクターグループ製品の国内販売サポートを手掛ける三洋セミコンデバイスの営業技術部長を務める佐藤明弘氏)とし、三洋半導体のグループ化による相乗効果を発揮して、ビジネス拡大を狙う。
オン・セミコンダクターは近年、事業買収を重ねながら、事業領域や製品ラインアップを広げてきた。事業買収の代表格が2011年1月の三洋半導体の買収だ。欧米市場に強いオン・セミコンダクターと対照的に三洋半導体は日本、アジア市場を得意とするなどビジネス面での補完関係は多く、今も“三洋ブランド”を維持しつつ、オン・セミコンダクターグループとして両社のシナジーを発揮させようとしている。
アナログ半導体、ミックスドシグナル半導体という同じ中核製品を展開してきたオン・セミコンダクターと三洋半導体の両社だが、製品面での補完関係が多いとし、注力するアプリケーションである電源、LED駆動、モーター駆動の3分野でも、多くのシナジーが見込めるとする。
AC-DCアダプター向け半導体で「世界トップシェア」(オン・セミコンダクター)というAC-DC電源用途では、「もともとオンセミコンダクターは1次側電源向け、三洋半導体は2次側を得意としていたため、グループとして、1次側、2次側双方にわたる総合的な提案が行えるようになった」とする。そして、1次/2次の各電源にオン・セミコンダクター、三洋半導体それぞれのICを使用した低待機電力の電源システムを開発し、リファレンスボードとして家電や産業機器などの分野で提案活動を進めている。「開発した電源システムは、待機時、低負荷時の効率に特に優れる。AC100V入力を1次、2次電源を経てDC3.3V出力する場合でも、待機時(負荷2mA)の消費電力はわずか20mW。特に2次側のICの低負荷時効率が高く12V入力5V出力時であれば、2mA出力時でも83%の効率を誇る。この効率は競合製品に比べ、2倍以上高い値だ」とする。
LED駆動用ICでも「三洋半導体は調光対応製品、逆にオン・セミコンダクターは非調光製品を得意としてきたため、提案の幅が広がった」という。オン・セミコンダクターグループでは、LED駆動ICをLED照明以外の分野へと拡大。その1つが、車載LEDであり、「出力電流精度±10%という高い精度を実現する独自技術“CCR技術”は車載分野でも好評で、より高い成長率で受注が拡大している」と説明する。
さらに、モーター駆動用半導体分野では、駆動電圧3Vから24Vまでのモーターに向けたビジネスに注力。アプリケーションは家電をはじめ、多機能プリンタや工業機器、車載機器まで幅広く狙う。「モーター駆動ICも、オン・セミコンダクターはブラシ付きモーター、ステッピングモーター、三洋半導体がブラシレスの単相/三相モーター向けが得意というように製品構成が違っていた」とし「モーター駆動ICが1台に30〜50個使われる多機能プリンタでもあらゆる製品を提案できるようになった」と相乗効果が生まれている点を強調する。
「今後は、電子化が進みモーター搭載数が伸びている車載用途への拡販に注力したい。特に車載用3相モーター向けは、市場をリードしている位置にあり、エネルギー効率を高められるオン・セミコンダクターグループ製品の強みを発揮できる分野だ」とする。オン・セミコンダクターではこのほど、三相モーター駆動システムの評価を容易にする評価キット「M-DrAGON」を開発し、販売活動を展開中。7月17〜19日に東京ビッグサイトで開催されるエレクトロニクス、メカトロニクス関連展示会「TECHNO-FRONTIER 2013」でも、M-DrAGONをはじめ、電源、LED駆動、モーター駆動用製品のデモなどを紹介する。
会期 | 2013年7月17日(水)〜19日(金) |
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時間 | 10:00〜17:00 |
会場 | 東京ビッグサイト |
オン・セミコンダクター | ブースNo.:1E-210 |
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